ドイツの小学校の現状。ドイツ語が話せない子どもたち

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先日、ドイツ人の友人と教育について議論していたんですが、内容がとても興味深かったので記事にします。

 

「クラスの中で、ドイツ語が母国語の子どもが5人しかいなかった。移民や外国人の子どもたちはまずドイツ語を勉強しなくたはならず、授業が大幅に遅れた。最近増えてる私立の学校の生徒は、多くがドイツ人だ」

 

ドイツ語を話せない子どもたち

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わたし自身外国人としてドイツにいるので、外国人がいることについてどうこう言うつもりはありません。

でもびっくりするのは、「10年住んでてドイツ語が話せない人たち」が一定の割合でいることです。

 

その人たちは家族内ではもちろん、友人たちともぜーんぶ母国語を話し、狭いコミュニティの中で、ドイツ文化と距離を置いた暮らしをしています。本当にいますよ、こういう人。

 

それが良いか悪いかは別です。が、子どもにとっては「悪い」といえるでしょう。

 

たとえば親が日本人で家でも日本語を使ってドイツで暮らしている家族がいたとします。子どもはもちろん日本語が母国語で、友人も日本人コミュニティの中。全部が日本語。

 

で、6歳になっていきなりドイツの学校に入れられ、土曜日に日本人学校に通う。ドイツの学校ではもちろん全部ドイツ語で、ついていけない。

 

でも、そんな状況の子どもが「多数派」だったらどうでしょう。ドイツ語の授業についていける方が少数派だったら?

 

そうなれば自然と、「ドイツ語が母国語でない生徒たちのレベル」に合わせなくてはならなくなります。

 

それは当然の動きだけど、「ドイツ語を学ばない家庭のせいで、ドイツの教育水準が下がる」っていうのは、多くのドイツ国民としては疑問が残るようです。

 

ドイツの小学校の現状

ちなみに、学校の区分はこんな感じです。ギムナジウムはいわばエリートコースで、大学進学が可能です。

実科学校は進学の門が狭くなりますが、可能。基幹学校になると、そのまま就職がメイン。

 

基礎学校は小学校のことです。

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悩める学校教育制度 - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト 

 

ドイツの小学校は4年間です。

 

 移民や外国人が、ドイツの教育についていけない現状

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http://www.frankfurt.de/sixcms/media.php/678/J2015K03x.pdfを翻訳、表化)

 

約ってつけるの面倒だから、小数点以下四捨五入!

 

小学校では、ドイツ人と、移民背景はあるもののドイツ人と認められる人が、約半々。外国人は15%。

 

卒業後就職コースの基幹学校。ドイツ人19%、移民背景アリ28%、外国人53%。

進学の可能性がある実科学校。ドイツ人25%、移民背景アリ44%、外国人31%。

大学進学できるギムナジウム。ドイツ人60%、移民背景アリ26%、外国人14%。

 

これを見れば、何を言いたいか、おわかりいただけると思います。

 

わたし自身外国人なので、「外国人は勉強ができない」と言うつもりはありませんが、外国人がドイツで教育のチャンスに恵まれていない、もしくはついていけていないのは事実です。

 

この統計だけでは理由はわかりませんが、やはり言葉の問題は大きいのではないでしょうか。

 

逆に言えば、ドイツ人が「移民や外国人のせいで教育の質が落ちている」と感じるのも理解できます。

 

約半数が「ドイツ語の補講」を望む国

「学校に望むもの」というアンケートの回答です。

回答者が生徒か親か、もしくはただのアンケートかが明記されていないようですが……。

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Verbesserungsbedarf an Schulen | Umfrage

 

49%が「ドイツ語の補講が必要」と答えるって、かなりヤバくないですか?

だってドイツ語で運営されるドイツの学校ですよ? それなのにドイツ語の補講?

 

現地の言葉を子どもに教えるのは、親の義務

小学校に上がる時点で、子どもの言語能力はコミュニケーションに足りるレベルになっています。だからこそ6歳で義務教育がはじまるわけです。

 

ですが、家庭でドイツ語を使っていなければ、学校についていけないのは当然です。子どもの責任じゃありません。

 

親はどんな神経してるんだろう。

 

子どもをドイツの学校に入れるなんて、あらかじめわかってたことじゃないですか。

子どもが学校で困らないようにドイツ語を教えないと、とか思わないのかなぁ。いや、問題は「教えたくても教えられないレベルのドイツ語を話す親がいること」か。

 

たまに、「うちのお母さんほとんどドイツ語話せないから、お父さんとお母さんが話すときに通訳する」と言う人がいますが、どうやって結婚にこぎつけたか謎。

 

本当にあるんですよ、ドイツにはこういう家庭が。日本にもあるだろうけど。

 

いずれ自国に帰るのかもしれないけど、子どもの身になって考えれば、教育を受ける機会を親のせいで逃すなんて最悪です。

学校に入れればドイツ語教えてくれるとでも思ってるのか? ドイツ語で授業を受ける場所だぞ?

 

酷な話になりますが、わたしだったらドイツ語がわからないクラスメートのせいでテストが簡単になって実力がつかなかったり、授業の質が下がるなんてごめんです。

 

 

 

ドイツは移民に飲み込まれる

教育にお金をかけない国は終わる、というのは定説ですが、移民や外国人によって教育の質が落ちる国は詰む、というのも新たな定説になりそうです。

 

まず学校は語学学校じゃありませんから、ドイツ語が一定レベルに達していない子どもは小学校とは別の語学学校に送ったほうがいいと思います。

 

授業についていけずに落ちこぼれるよりはいいはず。授業の質が落ちることもありませんし。

 

そして問題となるのが、「言葉のせいでついていけない」子どもたち。

 

なんだかんだ言って、日本だって成績はそれぞれ。全然授業についていけない子だっているし、優秀だから授業を退屈に感じる生徒もいるでしょう。県によって進学率や全国テストの結果がちがうこともあります。

 

ドイツと同じで、能力や環境によって、教育の結果が大きく変わります。

でもそこに「ドイツ人ではない」という理由が入ると、一気に複雑になります。

 

全国テストの結果、秋田県がトップで沖縄が最下位だとしても、「沖縄県民はみんなバカ」という短絡的な結論にはなりませんよね。むしろ沖縄の学校制度の改善が求められます。

 

ですがドイツでは、「ドイツ人ではない人」たちがランキングの下の方にいるんです。

 

その場合、「その人たちの責任」となり、「ドイツ人のための教育に合わせること」を求められます。

 

「教育」というテーマはとてもむずかしく複雑です。さらにいろいろな文化背景が絡むとなおさら。

 

なにが正しいかはかんたんには言えませんが、ドイツの教育を受けさせるのなら、親が子どもにドイツ語を教えるのは義務でしょう。

 

さらに、ドイツの移民や外国人の多さを考えれば、そういう家庭の子どもたちのための政策は必要だと思います。

 

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