先日、田舎へ移住したとある女性が「友人が性被害に遭った」という記事を公開した。名指しではなかったものの、高知県の嶺北ではないかと話題になっている。
そこはブロガーが集まってコミュニティを成しているところで、プロブロガー・イケダハヤトさんの弟子がNPOを立ち上げたところでもある。
加害者と思しき方はその活動に積極的だったみたいだけど、すぐにサイトの写真が消されてメンテナンス中で見れなくなる。そのうえ「対応中です」と書いた人のツイートが消されるなど、なんだかダメな雰囲気。
あーあ、また#metooがお祭りで終わりそうだ。
NPOれいほくにおける性犯罪問題が取りざたされる
若者の田舎移住が話題になっている昨今。そのなかでも高知の嶺北地方は強い。
なんてったって、有名ブロガーのイケダハヤトさんが移住して若者を集めてるからね。で、若いブロガーがそのあとを追って移住。
どうせ移住するならまったく知らないところより、顔出しして情報発信してる若者が多いほうが安心だもんね。高知はいいところだろうし。
でも、とある記事が公開された。
初めて遊びに行った時からずうっと気にかけてくれていて、東京に戻ってからも欠かさず電話をくれるその人の存在は、わたしが移住を決めた大きな決め手の一つでもあった。
「あの子はいつも話を聞いてくれるし、ちゃあんと礼儀というものがわかってる。最近になって若者と多く関わるようになったけど、ひよりがいちばんかわいい」
そんな風にまわりに話してくれるから、実家と疎遠になってしまっていたわたしは、なんだか本当の身内のように慕っていたのだ。(……)
わたしが”仲の良いおじいちゃん”と慕って半年近く付き合ってきたはずの人は、わたしたちをただの”女”という記号でしか見てなかったということだ。
この方の友人は、「優しい田舎のおじいちゃん」だと思っていた人から性暴力を受けたとのこと。
加害者らしき人も特定され、NPOれいほくの運営者はこの記事が公開されたあとすぐに、その人の写真を削除。このNPOを応援していたはずのプロブロガー・イケダハヤトさんや、先日セクハラ被害を告発したはあちゅうさんはだんまり。
ネット民がウォッチしてつつきまわすには格好の餌食になっているのが現状。
わたし個人としても、「サークルノリでやってきたっぽい人が社会人として性暴力にどれだけ対応できるのか」は興味がある。
でもぶっちゃけ、それはかなりついでだ。
性犯罪は炎上騒ぎで終わらせていいものではない
わたしが話し合うべきだと思ってるのは、ここ。
向こうは、自分の立場が悪くなることを恐れて、先に周りを固める手に出てしまったのだった。
「片付けないで帰ったのは非常識だったと思う」
「酔っぱらってふざけてやったことでしょ」
「セクハラなんてこっちじゃよくあることだよ」いくら事情を話しても、そんな風にしか取り合ってもらえなかった。
当該の団体には、何度も何度も話し合いを重ねて訴えてきました。お願いだから、被害に遭った人たちのためにもこれからは対処して欲しいと。
「本人がなにもしていないと言っている以上、あなたたちの話だけを信じることはできない」
そう言われるうちに、いつの間にか自分の方が”邪魔者”になってしまっていることに気づきました。
田舎の山奥という閉鎖空間で、地元でもそれなりに影響力があったのであろうおじいさんを敵に回してしまった、移住者の女の子。
これって、地方再生だの田舎へ移住しようだの言ってる地域、すべての問題だよね。
都会ならコミュニティから離れたり、ほかの人に助けを求めやすいだろうけど、田舎の山奥となるとそうはいかない。
若い子を田舎に呼ぶのはいいけど、そこで性犯罪や村ルールによる理不尽な扱いを受けたときは、だれがどう助けるの? そういうセーフティネットはちゃんと機能してる? 酌するのは女の仕事、若者をコキ使っていいって思ってる地元の人に「そうすると問題になりますよ」ってちゃんと伝えた? 本気で「ここではこれくらい当然」って思い込んでいる人だっているでしょ?
NPOれいほくの対応のクソっぷりをいじるのは別にいいと思う。運営者なら責任が発生するのは当然だもの。
でも、祭りとして炎上して、火が消えたらそのまま流れる。それじゃダメだよね。
告発は、次につなげないと意味がない
以前ブロガーのはあちゅうさんがセクハラ被害を告発したけど、その後はあちゅうさん自身が「童貞いじりは別にいいでしょ!」的なことを言って炎上。
燃え盛った炎が消えると、セクハラ問題もなんだかふわぁ~っと話題から消えていった。
ちがうじゃん、そういうことじゃないじゃん。
ネット告発はあくまで手段であって、目的ではないんです。だから、「どんどん告発しようぜ!」っていうのもまちがいではないけど、「告発することによってセクハラがなくなる流れ」になるべきなんじゃないでしょうか。
(……)
告発がセクハラ根絶に繋がっていかなきゃ、せっかく勇気ある告発がムダになってしまうよ……。
結局はあちゅうさんの告発だって、炎上芸みたいになって終わった。社会的に大きな意義のあることだったのに、ネットの祭りになってしまった。
今回も、イケダハヤトさんをはじめとしたブロガーが多い地域のことだから、注目を浴びた。で、いまNPOれいほくの人たちは隠ぺい体質を批判されてる。
うん、それで?
田舎で性犯罪が起きて理解者はいない。集落で孤立した移住者。そういうことが起こらないようにするにはなにが必要なの?
田舎移住の良し悪しとか、「そういう田舎ばっかりじゃない」とか、ちがうでしょ。
「田舎移住でそういうリスクがある事実がある以上、同じような被害を出さないためになにが必要なのか」を考えるべきなんじゃないの?
まぁわたし自身そんな田舎に住んだことがないからあんまりいい案は出ないんだけど。でもセーフティーネットは大事だと思うよ。移住者を守る取り組みもね。
セクハラやパワハラって概念を理解してもらう取り組みも必要だろうし、防犯ブザーが鳴ったらみんな駆けつける約束しとくとか。よくわかんないけど。
「名指しで公表しろ」とか「罰を受けるべき」とか、そういう話は警察とか弁護士とかそっち系の人のお仕事。
個人的な「不運」として局地的に攻撃するんじゃなくて、「どこでも起こりうる事件」として予防や支援のために必要なことを考えていった方がいいんじゃないの。
「うちの田舎にはそんな人いませんでした」って、表ざたになってないだけかもしれないじゃん。そりゃ、ほとんどの地域にゃいないよ。
「たまたま被害に遭っただけ」って言うなら、「運よく被害に遭わなかっただけ」かもしれないじゃん。次はあなたかもよ。
性犯罪の告発のたびに炎上して個人個人を攻撃していっても、加害者は減らないだろうし、被害者も減らないと思う。
気の利いた具体策を出せるほどくわしいわけじゃないけど、ただのお祭り騒ぎで終わらず、「地方移住における性犯罪対策」はちゃんと考えていくべきテーマだと思う。なんてお話でした。
こちらからは以上です。