ドイツで働くというと、「たくさん有給がとれる」「残業なし」「個人主義」というイメージがありますよね。
確かに労働者の権利は守られているけど、だからといって労働法厳守かといえばそうでもないです。
ドイツのレストラン3箇所で働きました。わたしが働いたのはレストランなので、事務職なんかと比べれば多少ブラックかもしれませんが、ドイツで働いたからといって「労働法厳守してもらえる」わけではありません。
ドイツは労働天国?
確かに有給はがっつり取れます。週2のバイトなのに5週間の有給がもらえたし、2ヶ月しか働いていないのに、ちゃんと3日の有給休暇がつきました。
有給に関してはすごく恵まれていると思いますが、だからといって理不尽な仕事がないかと言われれば、そうでもない、というのが感想です。
最近になってやっと最低賃金が導入されたくらいですから。
たしかにドイツで有給はとれる
有給はがっつり取れます。それは労働者の権利なので、堂々と取得できました。ほかの人もみーんなちゃんと有給をとっています。店長も規定日数とっていました。
店長が有給の希望日を聞いて、みんな順番に取得します。おかげさまで先月、5週間も日本に帰国することができました。
それを考えると、「労働法がちゃんと機能してる!」と思いますが、だからといってすべてにおいて「完全に守られている」かと言われれば、そうではありません。
ドイツでもサービス残業はあります
ドイツで働く=残業ナシ、と思っている人が多いですよね。わたしもそう思っていました。が、ドイツ人はみんな、「そうでもないよ?」と言います。
レストランで働くと、週末なんかは残業せざるを得ません。わたしの場合給料は固定だったので、サービス残業です。いま働いているところはタイムカードもありません。
ちなみに1つのレストランでは、「サービス残業はいいけど、せめて終バスで帰らせてくれ」と言ったところ、「仕事終わるまで帰るな」と言われたので辞めました。
びっくりします? ドイツでもこういうことは普通にありますよ。
いま働いているところでも、「残業はできない。用事がある」と言っても、「いいからちょっと残って」と言われました。
「あんたのとこが特別なんじゃない?」と思うかもしれませんが、ドイツでは「残業しないでいい」という考えは特にありません。
基本的には定時であがっていいけど、必要になればもちろん残業です。
北欧は残業すると割り増し給料になるから、多くの企業が残業を禁止していると聞きました。が、ドイツでは割り増し給料がありません。ただ時間がのびるだけです。(厚生労働省:諸外国の労働時間制度の概要)
ドイツの休憩時間は短い
もちろんドイツの労働法には、休憩時間についても定められています。ぐぐってみたところ、6-9時間で30分、9時間以上で45分とのこと。(Arbeitspausen, die Ihnen zustehen | Arbeitsrecht.org)
法律でも、9時間までは30分の休憩なんですね。8時から17時まで働いて、たったの30分。
わたしは6時間×週2で働いていますが、休憩なんてとったことありません。なんか「6時間働くと15分とれる、8時間で30分」らしいですが、どんな村ルール?
前働いていたところでは、17-23、週末は17-24.5(サービス残業)で働いていたんですが、一度も休憩なんてもらったことありません。
たしかに、飲食業だから、という側面があるかもしれません。でも飲食店だからサビ残OK、休憩ナシも許される、っていうわけじゃないですよね。
「ドイツの労働環境最高」だと思いますか? 日本に比べたらマシだけど、日本が悪いってだけでドイツが特別にいい、というわけじゃないと思います。
ドイツでは低賃金労働も合法だった
ドイツに最低賃金に関する法律が施行されたのは、2015年1月。1年ちょっと前ですね。
それまで、「賃金はいくらでもOK」だったんです。やばくない?
お試しで3日働いて辞めたところは、時給5ユーロですよ。
日本円に直したら600円越えるけど、ユーロ圏で生活してたらただの5ユーロですからね。スタバのカフェモカのグランデがぎり買えるくらいです。(🍵 Starbucks Preisliste — Fast Food Preise)
多くのレストランは、時給が8ユーロ+チップだったのに対して、あまりにも低賃金。丁重にお断りしました。
で、そんなことがまかり通っていたのがドイツです。2015年になってやっと最低賃金の決まりが導入されました。
でもヨーロッパの多くの国で実施されている、残業の割り増し賃金は法的に定められていません。
そう考えると、そこまで天国じゃないと思いません?
日本の労働環境が終わってるだけ
こうして考えてみると、別にドイツが最高の労働環境じゃないことがわかると思います。それでも日本に比べてマシですよね。
「お前企業で働いたことないだろ?」って思うかもしれませんが、正社員のしんどさは見ててわかりますよ。
居酒屋の店長は連休中14時から朝6時まで働いていましたし、家具屋の社員さんはみんな毎日サービス残業2、3時間やってましたもん。
最近はそういうのに気を遣っている会社もあるようですが、風潮っていうのはなかなか変わりませんからね。
わたしは「ドイツに行けば定時で帰れるんだ!」とか信じてましたけど、そういうわけじゃありませんでした。まぁどこでもそうなんでしょうね。北欧とかは別ですけど。
となりの芝生が青いんじゃなくて、日本の芝生が枯れてるだけなんでしょう。
他国の労働環境をうらやむよりも、自国の労働環境改善が大切ってことですね。かんたんに改善されるわけじゃないでしょうが、このままだと多くの若者が海外へ就職、もしくはフリーランスの道を選ぶんじゃないでしょうか。
ドイツの労働環境は完璧じゃないけど、少なくとも日本よりはマシでしょう。
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