以前ハフィントンポストに掲載された寄稿記事、「日本の就活がどんだけオワコンなのかがわかる、日本とドイツの就活事情の違い5つ」で、こんなことを書きました。
日本の会社に「天才」は必要ないんです。「そこそこやれる目立たない凡人」が上司に気に入られる秘訣です。天才が必要ない上、「異端」は即座に追放されます。一度フリーターだった? 留年した? 大学中退? 日本の就活では、「みんなが進む道」から外れたら険しい道のりが待っています。
そしてら、「理由によっては、企業だってちゃんと見てくれる」っていう反論がちらほらきたんですよね。本当ですか? 本当にそう思ってるんですか?
そりゃぁ可能性はゼロじゃないけど、レールから外れた人間が、日本でどれだけ不利な立場になるか知ってます? そういうこと言う人って結局、外れたことないんだろうなぁって思います。
進路を変えられない日本
日本では、ちょっと試して引き返してまた新たなる挑戦……っていうのは、正直ほっとんどできません。
そういうと、「できる!」って反論してくる人がいます。もちろん物理的にはできますよ、そりゃ。でもね、「みんなが進む道」から離れるっていのは、日本では現実的に考えて、相当むずかしいです。
なんでむずかしいか? そんなの簡単です、受け皿がないんです。
高校に行かなかったら、どうする?
日本人のほとんどがイエスと答える選択肢のひとつが、高校進学です。
高校にいくとき、進学するかどうか考えましたか? 多くの人は、「高校は行くもの」だと思ってませんか?
ご存知の通り、高校は義務教育ではありません。行くも行かないも、個人の自由です。ですが実際、ほぼ強制です。高校に行く、というのが、「一般的な人生」の最低条件になっています。
中学校を出てすぐに弟子入りするような業界がありますが、その人たちの人生は、ほとんど潰しがききません。その業界でトップになれればいいですが、そうじゃない人たちの方が多い。そうして残るのは、「中卒」という学歴のみ。
企業だってちゃんと見てくれる、わかってくれる、って言う人に聞きたい。
いかなる理由があったとしても、メガバンクが中卒を採用することはありえますか?
高校を辞めたら、どうする?
めでたく高校へ入学。ですがそれが理想どおりの生活とは限りませんよね。いじめられた、スポ薦なのにケガした、勉強についていけない、などなど、高校を辞めなければいけない状況に追いやられることがあります。結果、中退。
さて中退したらどうすればいいんでしょう。学歴は中卒ですよね。しかも多くの場合が18歳以下。もし自分が高校中退したらどうします? 就活は正直なかなか厳しいでしょう。
そしたら、流れ的にフリーターとかが多いんじゃないかと思います。でも、1回フリーターになったら、正社員としての社会復帰は限られた職場になるでしょう。高校中退、コンビニのフリーターから就職できる場所って少ないですよね。
実際、中卒労働者の57%が非正規雇用、その中の27%がバイトという立場で雇用されています。(統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103)
もちろん、その中でも成功を収めている人はいるんでしょうが、そんな特殊例を挙げて「中退でも成功できる」なんていう人がいます。でもあくまで可能性、選択肢の話ですから。
中学校が最終学歴だと、社会的な成功は、正直難しいです。
大学に進学しなかったら、どうする?
さて、無事高校卒業。そしたら、大学へ進学するかどうか、という決断を求められます。わたしの大学は進学校だったので、250人のなかで直接就職したのは5人以下。みんな進学希望でした。
ですが中学校の友達やバイト仲間の中に、高校卒業して、大学に進学しなかった人もいます。わたしが知っているそういう人たちは、やたらフリーター率が高かったです。まぁわたしもフリーターだったけど。
高校から絶対大学に行くべきだ、とは思いません。むしろFランに行くくらいなら、働いたほうがいいって考えです。が、長期的に見ればどうなんでしょう。
数値としては、大卒と高卒の生涯賃金を比べると、男性は4000万円、女性は6000万円、大卒の方が多いそうです。(生涯賃金で高卒・大卒の逆転も!? [学費・教育費] All About)
賃金だけで人生をはかるつもりはありませんが、社会的に有利なのはやっぱり大卒でしょうね。最近ベンチャーが注目されていますが、給与が多い大企業は、大卒が大好きですから。
中退したら、どうする?
うまいこと大学に入学するも、理想とちがった、なんてこともあるでしょう。興味がない、時間のムダだ、やりたいことができた、などなど。中退すれば、最終学歴は高卒です。ある程度の大学に入ることができたのであれば、そのステータスがプラスされるでしょう。
大学中退は理由と大学によりますが、やっぱりいろいろと不利です。
奨学金という借金して入学した人は最悪ですね。借金こさえた上に学歴は高卒ですから。
そして中退して就活するとしたら、高卒枠か中途枠ですよね。高卒枠なら一定の時期にしか就活できない上、まわりが高校生なので不利になる可能性が高いでしょう。中途枠だったら、実務経験もある人たちとの競争なので、なかなかつらい。
大学中退は、高卒でも大卒でもない分、いろいろと厄介でしょう。
就職できなかったら、どうする?
順調に単位をとって、あとは内定もらって卒業、というタイミングで、内定をもらえない人っていうのもいます。就職浪人とかね。
で、就職できなかったら、どうします?
もちろん業種や福利厚生をムシすれば、どこかしらで働けるでしょう。ですが自分の中で折り合いがつけられず、挫折してしまう人なんかも見かけますね。
いい高校にいって、いい大学に行くのも、すべては就職のため。いい会社にいって、たくさん給料をもらって、プライベートを放棄して働く。それが「理想的な規定路線」になっているんです。恐ろしいですね。
だから、就職できないっていうのは、理想から外れた負け組というふうに見られます。たとえば就活中療養してたとか、ほかの事に夢中になってた、とかいっても、やっぱりはぐれ者なわけです。
ストレートに就職しないというのが、「就職できない」と理解されて、その人に問題があるように見られます。それがいまの風潮です。
規定路線から外れたら、人生詰む
日本は、はぐれ者にすごく厳しい社会です。「そんなことない」って言う人は、規定路線を歩んでいる人ばっかり。その路線から少しはずれたことがある人は、どれだけ不利になるかっていうのが骨身に沁みているはずです。
わたしはいま既卒3年目の年です。就活する予定はありません。スペックといえば、ドイツ語が話せるくらい。
もし既卒3年が過ぎ、日本で就職するってなったら、わたしにはどんな選択肢があるんでしょう。中途採用になるわけですが、たいしたスキルは持っていません。
せいぜい、運がよくて語学学校のドイツ語の先生、あとは販売や飲食、だれにでも出来る事務職、ってところでしょうか。厳しいな。資格を取って就活? 資格取ってる間はバイト? つらいなぁー。
たとえば高校中退したけど、40歳になって大学に行きたいってのも非現実的だし、中卒から会社の役員なんかはやっぱり非現実的。まぁどの国でもそういうものなんでしょうけど、「復活のチャンスがない」っていうのはやっぱりつらいです。
だから一度つまずいたことがある人たちなんかは、自分で起業したりフリーランスになったりする。積極的な選択の場合もあるけど、「それ以外ない」って状況もありますよね。
一度道を外れたら、規定路線に戻るのは、正直かなりむずかしいです。
君の人生は君のものだ
でもね、「それがなに?」って思うんですよね。
社会的に不利でも、それがなにって感じ。規定路線に戻れないからそれがなに? 人生っていろいろあるんだから、ちょっとみんなとちがう選択しただけ。それがなに? って感じに悟ってきました。
たまに相談をいただくんですが、「○○したいけど、どうしよう」みたいに悩んでる人って多いんですよね。やればいいだけです。
フリーランスになったブロガーですが、人生なんてどうにでもなると思ってます。死ぬこと以外はかすり傷ですね。
フリーランスになる! って決めてから思ったんですが、自分の人生って自分のものですよね。社会的に勝ち組だろうが負け組みだろうが、楽しければそれでいいだけ。
規定路線から外れると大変だなぁ、とは思うけど、自分の人生なんだから、大変もなにもないですよね。やりたいことやればいいだけ。
ということで、みなさんにこの言葉を送りたいと思います。
君の人生は君のものだ。