わたしは日本にいたとき、割と順風満帆の生活を送っていました。ですがドイツに来て、「ただのちっぽけな外国人」だということに気づいてしまい、3度挫折しました。
いま思えば、「わたしはドイツ人じゃないし、ネイティブじゃない。どうせダメなんだ……」みたいな外国人コンプレックスによるものだったとわかります。
で、外国人コンプレックスって、結局のところただの被害妄想だったんですね。
外国人コンプレックスは被害妄想
旅行だと、あくまで外国人として滞在しているので、外国人であることに引け目を感じることはないでしょう。ですが長期滞在となると、現地で生まれ育った人と、どうしても比べちゃうんですよね。
ドイツ人ならわかる冗談も、ひとりだけ理解できず置いてきぼり……なんてあるあるです。
外国人コンプレックスで挫折した
外国人コンプレックスっていうのは、外国人と自分を比べて、自分が劣っていると思うことです。ドイツでは金髪美女をお目にかかるので、「同じ人類かよww」と突っ込みたくなるんですが、外見はどうしようもないですしね。
留学中は、外国人コンプレックスはありませんでした。
むしろ裏原系(?)の格好をしていたので、よくスナップ写真撮られたりしてたんですね。留学生って立場なら、ちょっとドイツ語が話せるだけで「すごいね~★」って言われますし、調子に乗っていました。
でも大学卒業後、ワーホリ、ドイツの大学へ入学……という経験をするうち、外国人コンプレックスが膨れ上がって、挫折を経験しました。
ドイツ人には適わない
これが一番大きかったですね。いくらドイツ語が「割と」話せるとはいえ、ドイツで生まれ育った人間には、言語の面でいえば勝てません。それこそ10年必死でやったりして、ようやく並べるんじゃないでしょうか。
いま思えば別に勝つ必要はなかったわけですが、いくら勉強しても、勉強してないドイツ人にすら勝てなかったりするんですよ。点数とかでね。
そこで、「がんばってもムダなんだ」みたいに思っちゃって、「どうせ外国人だし」とどこかやさぐれていました。
仲間はずれにされたと思った
これも完全に被害妄想なわけですが、「どうせ自分は外国人だ」みたいな気持ちだと、相手もとっつきづらくなるんですよね。自然と、ドイツ人と外国人、みたいな溝が出来ちゃいました。
留学中はまったくそんなことはなかったんですが、ドイツの正規大学生になって、みんなと同じ環境で授業を受けることになりました。
やっぱりみんなすごい自分の意見をはっきり言えるし、社交的なんですね。
でもわたしは「ドイツ語がまだ完璧じゃないし」みたいにひよって、ウェルカムパーティーなんかでも、「話しかけていいのかなぁ……」と受身になって、結局たいした友達ができませんでした。
そしたら当然、大学生活は孤独です。
自分が受身だったからいけないのに、「やっぱりアジア人だし……」って考えるようになりました。ちなみに150人近くいる学部でしたが、ひとりもアジア人を見たことがありません。
ムダにかわいい扱いされた
わたしは、153センチくらいなので、日本でも割りと小さい方です。足のサイズは22.5で、ドイツだと子ども用の靴のサイズです。
でも、精神的にはふつーに24歳の大人として、一般的なレベルくらいには成熟しているつもりです。
が、ドイツだと「小さいアジア人の一挙一動がカワイイ」みたいに認識されて、やたら助けてくれたり、「本当かわいいーー!!」って抱きしめられたりするんですよ。年下の女の子に。このわたしが。
いや、カワイイ自慢とかじゃなくてね。まぁ我の強いこっちの人に比べたら、控えめで、華奢で、顔も薄くてほんわかした雰囲気で、若く見えるんでしょう。
悪い気はしません。相手も好意でやってるわけだから。
でも、自分はいたってマジメに働いてるのに、「カワイイーー!!」って言われると、「なんか舐められてるなぁ……」と思って構えるようになってしまいました。これも被害妄想なわけだけどね。
外国人コンプレックスでふさぎこんだ
実際「外国人とグループワークしたくない」みたいな空気を出す人もいましたし、バイトでは「どうせ理解できないんだから口出さないで」って言われたこともありました。
そういう人は日本でもいるわけですが、「外国人である」という負い目があったぶん、言い返すことも出来ず、どんどんふさぎこんでいきました。
みんながいる輪にも、やっぱり入れません。ドイツ人だけに伝わるジョークとかね。わかんないもん。
そこで「どういうこと?」って聞けなかった自分が悪いんだけど、やっぱりそれにはすごく勇気がいるんです。
結果、引きこもりになりました。高校時代からの親友が、毎日のように生存確認のLINEをしてくるレベルでした。
超絶ホームシックで、ドイツ語を拒否して日本語がわからない彼氏を困らせたこともありました。でも意気揚々と日本を飛び出して、応援してくれている人がいると思うと引き返すこともできず、ひたすら引きこもりました。
外国人コンプレックスを乗り越えた
そんなコンプレックスを抱えていたわたしですが、いまはもうそんなものありません。克服したのはつい最近なんだけどね!
これ以上、ドイツに馴染むのはやめました。
言い方は悪いんですが、やっぱりわたし、日本人だからね。ドイツの文化や考え方、ライフスタイルは好きだし受け入れてるけど、それどおりにしなきゃいけないかっていうと、そうじゃない。
「外国人扱い」なんてされて当然ですよね、外国人なわけですから。そこに良いも悪いもありません。
もちろん、悪意を持っている人種差別主義っぽい人とかに「悪」というレッテルを貼られたときは立ち上がります。国が認めたビザ取得して滞在してるんですから。
「日本人はNOと言わない」といいように使われていたときは、謝りすぎだから謝らないことに 決めたりね。
でも基本的には、「うん、わかんないよ。わたし日本人だもの」っていう姿勢になりました。だって20年住んだ故郷が体に染み付いてるんだから、2年半しか住んでないドイツに完全に適応なんてやっぱりムリだよ。
「自分は外国人だ」とふさぎこんでいる人がいたら、「自分は外国人だ」と胸をはれるようになればいいと思います。
落ち込んだところで現地人になれるわけないですからね。自分に自信を持って、堂々としてればいいだけです。