わたしは、自己啓発本やビジネス書はあんまり好きじゃないんですが、小説は好きです。電子書籍がキライなので、ドイツだとなかなか新しい本は読めないのが残念です。
自己啓発本や偉人の伝記とかいった、「明らかに立派な本」から人生を考えることもあると思います。ですが正直そんな立派な人間でもないので、どーも好きになれないんです。
なので、今日はそんなわたしがおススメする、「人生を考えさせられる小説」を紹介したいと思います!
心理描写が巧みな作品ばかりなので、人間のエゴがすごくリアルで、「自分だったら……」と考えずにはいられなくなります。
人生を考えさせられるおススメ小説
いままであんまり書評は書いていなかったんですが、たまにはこういうのもいいですね。オピニオン系もいいんですが、単純に好きなモノを他の人におススメするのは楽しいです。
多くの人に、「自分だったら」と考えながら読んでもらいたい作品たちです。
「人生を考えさせられる」だけあって、読んだ後ちょっとした虚無感に襲われることを覚悟してください( ・ิω・ิ)
1.森絵都『カラフル』
この本を初めて読んだのは小学生だったんですが、読み終えた後のなんとも言えない気持ちを、いまでも覚えています。
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイ し、自分の罪を思い出さなければならないのだ。
真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。
この本は、児童文学に分類されます。ですが、大人になったあなたにこそ読んでもらいたい作品です。
生前罪を犯した主人公が、ほかの人の肉体を借りて自分の罪を思い出すという、再挑戦の物語です。
彼の人生にはたくさんの苦難があって、それが彼を死に追いやりました。
ですがそれは、本当に「苦難」だったんでしょうか。だれしもが、ただひたむきに、自分ができることをやっていただけなのかもしれません。
一度はくじけてしまった主人公。人生を見直したとき、そこにはまたちがう「幸せのかたち」があることに気付いていきます。人生において、「正解とはなにか」を考えさせられます。
2.山本文緒『ブルーもしくはブルー』
これは……背筋がゾっとする話ですね。どんどんエゴをむき出しにしていく主人公。坂道を転がり落ちるスピード感に、思わず固唾を飲みます。
広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出く わした。彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。
全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。ある日、二人は入れ 替わることを決意した。誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。
いや、恋愛ファンタジーというか、サイコサスペンスですね。悪寒がする、という言葉がぴったりでしょう。
同じ顔をした2人が生活を入れ替えることにした、というドッペルゲンガ―ものです。心理描写が巧みで、「もし自分のドッペルゲンガ―が、理想の生活を送っていたら……」と想像せずにはいられません。
「あのときこうしていれば、ここにいるのはわたしだった」というエゴが薄気味悪く、それこそがこの作品の魅力です。「隣の芝は青い」。まさにそうです。でもそれは、「自分の庭の芝が枯れている」とイコールなのでしょうか?
あなたにとって、幸せはなんですか? そんな問いを投げかけてくる小説です。
3.有川浩『阪急電車』
映画化もされたこの短編集は、電車内で繰り広げられる小さな物語がそれぞれ絡まって、みんなが少しずつ自分らしさを見つけていく物語です。
乗りなれた車両。ありふれた風景。
通勤、通学、ショッピング、そして大切な人に会いに… その目的は違えども、さまざまな人生を乗せて走る、電車。
(略)
これは、そんな平凡な毎日が、”あなた”が視点をちょっと動かすだけで、輝き始める不思議なおはなし。
電車の中で巻き起こる小さな物語が、少しずつだれかを変えていく――。
日常の小さな変化で人生は変わっていくことを思い知らされます。でもそれが嫌味じゃなくて、どこかなつかしくて心がポカポカする、ふしぎな小説です。
どこにでもある、ありふれた風景。そんな中でも、人は出会い、物語を紡ぎ、人生を変化させていきます。あなたが昨日電車で出会った物語も、もしかしたらあなたの人生を少しだけ変えたのかもしれません。
毎日を大切に生きたくなるような、心温まる短編集です。
4.東野圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』
親友の恋人を奪うのは、罪だ。でも、好きになってしまった。それなら彼にとって、なにが「正解」なんだろう。あなたは親友と恋人、どっちをとりますか?
親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。
錯綜する世 界の向こうに潜む闇、1つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?
一目ぼれをした。相手も、自分を見ていた。
足に障がいがあり、自信のない親友に、恋人ができた。自分のことに喜んだのもつかの間、その恋人は、自分が以前一目ぼれしたあの彼女だった。
好きになってはいけない人を好きになってしまった。そんなとき、その記憶を書き換えることができたら、あなたはどうする――?
東野さんといえばミステリーですが、この作品は人間のココロに焦点を当てています。
人間とは、身勝手で、自分が一番かわいい。それは、友情でも恋愛でも同じです。結局みんな、自分が幸せになりたいだけ。そんな現実を突きつけられます。
5.ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』
幸せとは、なんだろう。世界中が涙した、不朽の名作です。西洋の小説は基本的に読まないのですが、これだけどうしても入れたかったので紹介します。
32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これに とびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。
やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎し み、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?
知的障がい者から、脳手術で一気に天才へ。ずっと思い描いていた「ふつう」の生活。なにもかもうまくいくと、思っていた――。
あなたにとって、幸せとはなんですか? あなたの幸せには、なにが必要ですか?
みんなと同じようになれば、みんなと同じような幸せが手に入ると思っていた主人公。ですが、それが新たな苦悩のはじまりでした。
恵まれた環境が幸せとは限りません。自分の幸せについて考えさせられる1冊です。
小説で人生を考えてみよう
わたしは、小説が好きです。自分が体験できないことを、小説を通じて体験し、蓄積することができるからです。
今回心の底からおススメしたこの5冊の小説は、「自分だったらどうするのが『正解』なのか」と、自分の生き方を考えさせられる物語です。ふだん小説を読まない方でも、心理描写がていねいなので、引き込まれることまちがいナシです。
あなたの人生がいま順風満帆なら、本当にそれでいいのかを、考えさせるでしょう。
あなたの人生が満たされていないのなら、その理由を見つけられるかもしれません。
小説だからこそ、自分と重ねることができます。人生を考えさせられること請負です。どれも名作ですので、気になったものがありましたら、ぜひお手に取ってみてください!
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