テレビを見ると、「外国人が驚いたニッポンの魅力」「外国人が大絶賛！日本の観光名所」「世界が称賛した日本人の行動」みたいな番組が、本当に多いですね。
自分の国を好きなのはいいことです。ですが、気づいてください。日本称賛番組は、かなり気持ち悪いです。
日本称賛番組は気持ち悪い！
最初に言っておくと、自国を好きなのは、基本的にいいことです。でもなんかちょっとちがうんじゃないの、って思うんですよね。
日本好きな外国人を取り上げて日本人のために日本を称賛して、なにになるんだろう。
日本称賛番組への違和感
海外を知らない人が作ったVTRに、海外を知らないゲストがコメントして、海外を知らない視聴者が喜ぶ……。日本が好きで移住した人を囲って日本がいかに魅力的か語ってもらう……。
なんか自作自演感がすごいですね！ 都合のいい情報だけ集めて、「やっぱり日本すげー！」みたいな。
「ここが日本のいいところだよね！」って自信を持って伝えればいいのに。なぜそこに、ごく一部の日本マニアな外国人を「世界代表」として出してしまうのか。そこで一気にうさんくさくなる。
日本称賛番組は、ネットでちょっと褒められたからっていい気になって、人気者気取ってまわりにチヤホヤしてもらってご満悦の勘違い野郎と同じにおいがします。ナルシストっぽくて、傍から見たらすげー恥ずかしいよ？ってやつです。
恣意的に日本を持ち上げる不信感
日本称賛番組は、「日本大好きなごく一部の外国人」を取り上げているにすぎません。
わたしがドイツでドイツを称えるコメントをしたとして、ドイツメディアが「やっぱりドイツ最高！世界でも大人気！！」って言ってたら、「おいおい」って思いません？ そういうことよ。
あと、「日本は超イメージがいい」と思っている人も多いですが、言うほどじゃありません。
「日本人って礼儀正しい！」よりも、「死ぬまで働くクレイジーな国」「日本人の女は男に逆らわないから都合がいい」「男は細くてナヨナヨしてる軟弱野郎ばっかり」って言われた方が多いです。
日本人＝まじめだと思っている人はたしかに多いけど、絶賛されているかと言われれば、むしろ「ちゃんとしてる変な人たち」と認識されている印象です。
世界はそんなに日本に興味を持っていない
日独で比較すると、2012年の1年間で、日本からドイツに行った人は約73万人。ドイツから日本に行ったのはたった10万人ちょっとです。（参考：統計・データ｜日本政府観光局）
日本に興味があるのは、多くはアジア諸国の人でしょう。でも日本称賛番組で取り上げられる「外国人」は、圧倒的に白人なんですよねぇ。なんででしょう。
白人に認められてうれしい！なのか、日本は欧米諸国以外の国には勝って当然だと思っているのか……よくわかりませんが。
日本は、アジアのちっぽけな島国です。発展はしているけど、欧米出身の人からすれば、「アジアにしてはがんばってる国」程度の認識だったりするんですよね。
だって日本、経済力のわりに世界で影響力ないんだもん。権威というか権力というか、存在感がない。残念ながら。ドイツのニュースを見ていても、日本の話はほとんど出てきませんし。
言うほど世界から注目されてませんよ？ だって、日本が海外にたいして興味持ってないじゃないですか。そしたら相手からも関心を寄せてもらえないんじゃない？
日本称賛は海外に向けてやらないと無意味
日本が国際的に強い存在感があれば、こんなにも「日本すごい！」っていう風潮が盛り上がらなかったと思うんです。
自画自賛って、他人が褒めてくれないから自分で褒めるわけですよ。だれからも相手にされてないからなんですよね。
日本のいいところに自覚的になるのはいいことだと思います。でもそれを日本向けに発信しちゃうと、結局は内輪で褒めたたえ合ってる、ちょっと気持ち悪いナルシストになります。
日本のいいところは、日本人にアピールするんじゃなくて、海外にアピールすべきなんじゃないですか？
日本称賛しても、日本にいる人は「やっぱ日本すごい！」って感想を抱くだけで終わりです。でも外に発信したら、日本に興味を持って遊びに来てくれるかもしれないじゃないですか！
自社の商品を自社社員に「こんなにすごいんだぜェェェ！！！！」って言っててもしゃーないじゃん。社内で「やっぱうちの商品最高だぜ！」って言い合っててもさぁ……。外に向けて広告出さないとねぇ……。
「日本すげー！」って称賛するんなら、日本にじゃなくて外に向けてガンガン日本をアピールして、堂々と外に発信すればいいのにね。もったいない。
オリンピックもやるんだから、国内の日本称賛番組を翻訳してどんどん発信すれば？ 日本国内で日本人が日本を不自然に持ち上げてるより健全じゃないかな！ まぁ、独りよがりすぎて、白い目で見られて終わりだと思うけど。
