結構前から『ばらかもん』というマンガにハマっている雨宮です。ほのぼのギャグマンガなんですが、たまにとても深いセリフが飛び出たりします。
後輩に負けてメンタルやられる主人公が、ヨボヨボのおばぁちゃんから前を向く力をもらうシーンがすごく素敵なので、紹介します!
『ばらかもん』の簡単なあらすじ
出典:ばらかもん・はんだくん公式アカウント on Twitter
まずはざっとあらすじから。
書道の家元の家庭に生まれた半田清。幼いころから書道一筋で、父親の後継者としても期待されていた。だが23歳になり、お手本みたいな字しか書けない、と心のどこかで焦りを感じていた。
そんなとき、書道の展示会で館長に「実につまらん字」と言われて激昂。思わず殴りつけてしまう。
そんな息子に対し、父親は「人間として欠けてる部分がある」として、清を長崎県の五島列島に強制移住させることに。
プライドが高いくせに世間知らず、生活能力が低くちょっとドジな清は、みんな顔見知りというド田舎でいろんな人と出逢い、成長していく……というハートフルコメディです。
他人と比べて悩んでしまうときは「どうぞお先に」
島に来て最初の書展に並々ならぬ闘志を燃やしていた清ですが、2位という結果に終わってしまいます。しかも負けた相手は、18歳の若造・神崎康介。「島に来たからこんなことになったんだ!」と周りにあたり、「俺には書道しかないから1番じゃなきゃだめなんだ」と落ち込みます。
そんなとき、清は漁船から餅を盛大に投げる「もちひろい」という行事に誘われます。
空を飛び交う餅をとろうとしても、百戦錬磨の地元民に負け、まったくキャッチできない清。ネガティブに拍車がかかります。
結局ここでも同じか……
取れる人間と取れない人間がいる
俺は……取れない方
取れないでもがくより 取らないでやめる方が潔いか
楽だし
どんどんマイナス思考になり、挙句の果てには書道をやめようかとまで思いつめてしまいます。
そんなとき、餅拾いの達人であるヨボヨボのおばあちゃん、ヤスばが登場。ヤスばは上ばかり見ている清を諭し、「ゆっくり待って地面に落ちたっば取っとよ」、「下ば見っとよ チャンスは意外にも下に落ちちょるけんね」とアドバイスします。
ヤスばは地面に落ちた餅を拾い続け、毎年大量の餅をゲットしていたのです。
清は思わずヤスばに、「それでも取れなかったらどうすればいい? 誰かオレより上手い奴がいてどうしても餅を拾えなかったら」と聞きます。
すると……
出典:ばらかもん | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
人に取られたものを欲しがる必要はなか 諦める必要もなか
譲ってやって もっと大きな餅ば拾え
結果が出なくて落ち込み、自分なんて……と自己否定の沼にはまり、どうしていいかわからなかった清に、ヤスばはこう答えます。
出典:ばらかもん | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
ちなみに↑のエピソードは第7話(1巻収録)で、公式サイトから無料で読めます。
第3巻では、清を下した18歳の若造・康介が清に会うために島に来るんですね。康介は清にあこがれて書道をはじめた少年で、「先生は島に来て字が下手になってる」「東京へ戻りましょう」と清に詰め寄ります。
でも清は柔らかい表情で、「どうぞお先に」と答えます。自分のペースでやっていくから、「どうぞお先に」と。めっちゃイイ話!!
ちなみにこの康介は、ナチュラルクズでいいキャラしてます。『ばらかもん』1巻はまだキャラや絵柄が安定してないけど、3巻あたりからどんどんおもしろくなるからぜひ読んでくださいーー!!
他人に負けて焦る気持ち
だれだって成功したいですよね。うまくいかないと落ち込むし、他人に抜かれると焦る。そこでがんばろう!ってなれればいいんだけど、そうもいかなくて、「やめちゃえば楽だよなぁ」なんて思ったりもしますよね。
ジタバタするのはみっともないし、きっぱり諦めた方がカッコイイ。一番になれないんならそこが自分の限界だ。
自分自身に見切りをつければ、それ以上がんばらなくていいし、競わなくていいし、第一に傷つかずに済む。
同期が出世した、同級生で社会的に成功したヤツがいる。そういう人を目の当たりにすると、自分はこのままでいいのかなって焦りますよね。
で、追いつこうとがんばるより、自分は無理だって諦める方が楽です。だってもう戦わなくていいんだから。
笑顔で言う「どうぞお先に」
でもそうやって自己否定をし続けても、なににもなりません。いつかどこかで前を向かなきゃいけない時期がやってきます。
そんなとき、「チクショウ」とか「あいつばっかりズルい」とかって気持ちに押しつぶされず、笑顔で「どうぞお先に」と言える人間でありたいと思います。
で、実は書展で1位を獲った康介は、2位だった清の字に衝撃を受けてスランプに陥っていたんです。だから島まで会いに来た。
1位を獲った康介は悩んでいて、2位だった清は前へ進もうとする。人生なんてそんなもので、他人と比べていたって自分がつらくなるだけです。いろんなペースがあるんですから。
足元に目を向けたらたくさんチャンスが転がってるかもしれないし、いま前を歩いている人の足を引っ張ったり追いかけたりしても、幸せになるとは限らない。
遅れをとったと思ったら、「どうぞお先に」とまずはその人たちに先に入ってもらって、自分のペースで少しずつ進んでいく。そんな考え方もありですよね。
だれだって1番早く頂点に立ちたいだろうけど、最短最速が常に「正しい」わけではありません。
焦らず、抜かされたら「どうぞお先に」と言って、自分のペースで前に進み続けるような人間でいたいものです。