ドイツの大学に留学するとなると、ドイツ語力がネックになるでしょう。学校同士の交換留学ならドイツ語力がなくても問題ありませんが、正規入学となると話は別。
ドイツの大学に正規入学したわたしが、自分のドイツ語能力と合わせて「ドイツの大学に入学する場合に必要なドイツ語能力」について詳細に書いていきます。
ドイツ留学に必要なドイツ語能力
ドイツの大学に入学するとき、ドイツ語力の証明が必要です。その方法にはいくつかあって、主にDSHとtestDaF、ゲーテインスティトゥートの3つのテストがあります。それぞれの特徴、どういう人におススメか、などは『【保存版】ドイツの大学に正規入学する手順を、すべて解説する』をご覧ください。
要求されるドイツ語レベルはC1
基本的に、ドイツの大学が求めるドイツ語レベルはC1です。「C1ってなんやねん」という方は、この表を参考にしてください。
CEFRについて|資格・検定試験 関連情報[英語4技能試験情報サイト]
ヨーロッパには言語が多数あるので、TOEIC800点、testDaF4×4と言ってもよくわからないわけです。そのため、「ヨーロッパ言語共通参照枠」といって、どの言語でも「このレベルですよ」と言えるように、共通のレベル分けがあります。
「英語B2、ドイツ語C1」とかって言ったら、「ドイツ語の方が得意で、英語もそこそこなんだな」ってわかります。ちなみにツェー(C)アインツ(1)と読みます。
要求されるC1ってどれくらいかというと、英検1級、TOEIC900点レベルです。大丈夫、びびらないでください。それでも多くの外国人が入学を果たしていますから、あなたにも出来ます。
例外は特殊学部と特例
だいたいの場合はC1が要求されるのですが、例外もあって、音楽やスポーツ系などの学部は、要求されるドイツ語レベルの基準が低いことが多いです。逆に、医学部などではやや高くなることもあります。
もうひとつの例外は、救済処置がある場合です。「B2で入学資格はあるが、1年以内にC1のレベルに達すること」みたいな条件がつく大学もあります。
この救済処置のメリットは、とりあえず大学に入学できるので、大学のドイツ語コースをはじめとした講義を受講できることです。また、語学学生ではなく学生ビザが取得できるので、時間・お金に余裕がない人はこういった救済処置がある大学をチェックしておきましょう。
ドイツ語力をクリアする3つの王道ルート
多くの外国人が、ドイツの大学への入学を果たしています。わたしもです。そういう人は、どうやってドイツ語力を磨いてドイツ語テストをパスしたのか。
留学するとき、ドイツ語力の基準をクリアするための3つの王道ルートを紹介します。
ちなみにわたしは基本独学でした。その方法は『外国語を勉強してる人へ。独学で習得する方法を丁寧に語る』にまとめています。
DSH準備コースからのDSH
一番の王道はDSH試験。もうどの大学に入学したいか決まっている人、確実に入学したい人はだいたいこのルートを選びます。
DSHとは、「それぞれの大学による留学生向け入試」のようなものです。大学によって内容が変わるので、それぞれの大学が準備コースを用意しています。
DSH準備コースは、週3日~5日、午前や午後に開催され、1学期ごとに申し込みが必要です。準備コースに入るためには、B1くらいあればOKのところが多いようです。
DSHは大学入学のためのテストなので、日常会話よりもアカデミックな内容になります。ちなみに語学学生なので、語学ビザになります。学生ビザにはなりません。
で、学期末にDSHを受けます。受からなかった人は次の学期の準備コースを再び受講する感じ。DSHの受験回数制限がある大学もあるので、要注意です。
メリットは、「大学が対策してくれるので、マジメに勉強してればかなりの確立でDSHに受かる」という安心感。また、大学に通うことで友人が出来たり、ドイツの生活に馴染みやすかったりもします。
語学学校からのtestDaF
「どこの大学に入学するかわからない」「大学入学か就職活動かで迷ってる」ような人は、全世界共通テストであるtestDaFを選びます。わたしはこのパターンでした。
わたしは交換留学中、もっとドイツ語をやりたかったので、testDaFを受けることにしました。で、プライベートの語学学校で対策コースを受講しました。でも納得行く結果じゃなかったので、日本でもう一度受験。それができるのもDaFのメリットです。
民間の語学学校・testDaFの受験料ともにやや高いものの、「開催回数が多い」「世界共通テスト」「大学だけでなく就職などでも語学力証明になる」ので便利です。
「1学期ものんびり準備してる時間はない」って人や、「早く入学したい」って人は、自分で語学学校に通って自分でtestDaFを申し込んで受ける人が多いです。ちょっと高いけど、潰しがききます。
C1と認められるのは、4×4(読み・書き・聞きとり・話しの4分野で、それぞれスコア4以上)。
金持ちのゲーテコース
お金を持ってる人は、ゲーテに通う人が多いです。ゲーテインスティトゥートは、ドイツ政府公認の国際交流機関で、ドイツ語授業なんかもやってます。青山のドイツ大使館のなかに入ってます。ドイツにももちろんゲーテがいくつかあります。
ゲーテはとにかく金がかかる。でも公的機関というだけあって、ゲーテのテストの結果は公に認められます。まぁあれだ、信頼を買うようなものですね。
ですがゲーテのC1はドイツ人でも「これどこの方言だよw」っていうのが出てくるので、DSHやDaFよりもむずかしい気がします。ゲーテの授業受けてれば受かるのかな?
雨宮のちょっと特殊な入学までの道のり
ちなみに雨宮はどうかといえば、ちょっとズルい気もしますが、ドイツ語テストを受けずに大学に入学しています。
わたしが入学したドイツの大学は、「ドイツ語を主専攻として大学で4年以上学び、必要条件を満たしている者は、それによってドイツ語能力を証明できる」となっていました。
わたしは日本の4年生大学でドイツ語を専攻していましたが、それは「ドイツ語の授業」であって、「ドイツ語での授業」ではないので、本来は認められません。ですが4年間のうち1年間留学していたので、それでOKとなりました。
つまり、大学の卒業証明によって、ドイツ語能力の証明が免除になったというわけです。
とはいえせっかくこういう記事を書いているのですから、目安としてわたしのドイツ語力の成長?を書いておきます。
2011年6月、ドイツ語検定3級取得
2012年9月、ドイツ留学。留学生向けの15クラスのなかで8番目(B1とB2の間くらい)
2013年6月、留学中、testDaFを受ける。4×4×4×3
2013年9月、悔しかったので帰国してすぐtestDaFをもう一度受ける。4×4×4×4(大学入学可能レベル)
2014年3月、日本の大学卒業
2014年9月、ふたたびドイツへ
2015年4月、ドイツの大学に正規入学
こんな感じでした。大学入学時のレベルはテストを受けていないのでわかりませんが、C1とC2の間くらいだと思います。(いまは落ちてるかも)
入学前に必要そうな単語を丸暗記してたので授業はだいたいわかりましたが、議論とかになるとやっぱり厳しいですね。C1でギリギリ入学できたとしても、その後結構きついと思います。
なので大学入学を目的にするのではなく、大学卒業を第一目標として着実に準備することをおススメします。大学入って力尽きてちゃ意味ないからね!
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