ドイツは、合理主義として知られていますよね。「ドイツ人は日本人の○倍の生産力」だとか、「仕事を終わらせてみんな定時に帰る」とか。たしかに頭がいいなーと思う人も多いけど、そういう人ばかりではありません。
ドイツの働き方は合理的なんじゃなくて、役割分担がはっきりしているからそう見えるだけだと思います。
よく言われている「合理主義」ですが、効率を重視というよりも、役割を分けて自分の仕事をする、っていう印象です。
ドイツでみんなチャキチャキ働いているかといえば、全然そんなことありません。
ドイツの働き方は合理的?
ドイツは長い休暇が取れることで有名ですよね。わたしは週2のバイトのくせに、5週間の有給(10日)をもらったので日本に一時帰国することができました。
欧米ノー残業神話があるので、「ドイツでは残業しないんでしょう? 合理主義だから、みんな時間内に仕事終わらせてちゃちゃっと帰ってるって聞いたよ」とよく言われます。
が、「半分当たりだけど、半分ちがうかなぁ」と思います。
というのも、ドイツは休暇は認められているものの、ヨーロッパの中では残業が多い国です。「ドイツに残業はない? 嘘嘘、あるよ!」と何度も言われました。
ドイツの労働環境については外部サイトで書かせていただいたので、気になる方は読んでいただけるとうれしいです。
ドイツに残業がないなんて誰が言った? 夢見すぎ! https://t.co/xtGemrUNdV pic.twitter.com/If3GE5YR3c
— ドイツBizGuide (@bizguide_de) 2016年4月27日
ドイツの仕事は合理的じゃない!
こうやって書くと、また「ドイツでもそういう人ばっかりじゃない」とか言われるんでしょうけど、まぁいいや。ほっとこ。
ドイツでは仕事が合理的に進められるかと思いきや、みんなかなりのんびりやってます。そもそも合理的ってなに? って話ですが、この2番目の意味ですね。
- 1 道理や論理にかなっているさま。「―な自然界の法則」
- 2 むだなく能率的であるさま。「―な処置」
ドイツの働き方が「むだがなく」「効率的か」と言われれば、かなり疑問です。客をほったらかして雑談してるのなんてしょっちゅうだし、コピーとるって後ろにひっこんで15分待たされる、なんてのもあるある。
合理的に仕事を進める、っていうと、迅速で効率がよくてキビキビ、と思いますが、全然そんなことありません。ドイツに行ったら、対応がすごく遅いことにびっくりすると思います。
ドイツの仕事は合理的どころかのんびり
ドイツの仕事の進め方は、かなりのんびりしていると思います。そしてお客さんもそれを許容しています。レジにお客さんが並んでいたから「すぐに行きます!」って走ってレジへ向かったら、「あら、急がなくていいのよ」と言われました。
本当に、急ぐ必要はないのです。それを期待されてもいません。
そりゃ納期が迫ってるだのお客さんが怒ってるだので急ぐことはありますが、迅速な対応なんてしないし、する必要もありません。
保険会社で契約中に、「ごめーん、わたしのFAX壊れちゃって。借りていい?」と同僚の人が来ました。
「いいよー。今日は暑いわねぇ。サンドウィッチ買ってきたんだけど、バター入りだから困るわ」「あら。冷蔵庫に入れておこうか?」「いいわよ、自分でやるから」
と言って、本当にサンドウィッチを冷蔵庫に入れるためにわたしは置いてきぼりにあいました。体験談です。しょうがないです。ドイツですから。
レストランではテーブル会計が基本なのですが、会計は係りの人がいるので、その人の手がふさがっていたら待たなくてはいけません。ほかの人は暇そうにしていても、会計の係りが来るまで10分でも20分でも待ちます。ドイツですから。
レジやりながら子どもに「ほら、作り置きがあるでしょ」と電話している人もいました。ドイツですから。
それでもドイツで仕事は早く終わる
ここがすごく不思議なんですが、こんなのんびりやってるくせに、なぜか仕事は終わるんですよね。
ヨーロッパの中では残業が多いとはいえ、日本人のわたしからすればたかが知れています。
なんでこんなのんびりやってるのに、仕事が終わるんでしょう。
答えはかんたんで、「仕事に追われない」からだと思うんです。
日本の会社って、窓口でもなんでも、みんなあくせくしてません? 見ていて、忙しそうだなぁーって思います。ドイツだとそういう印象はあんまりうけませんでした。
ドイツでは、訪問販売や個人営業を見たことがありません。まぁしてるのかもしれないけど、基本的には広告ですね。来る者拒まず、去る者追わずという姿勢なんでしょう。
お店側も、「イヤなら来なくていいよ」という雰囲気が強いので、仕事でてんやわんや、というのを見たことがありません。
もちろん、仕事に追われている人もいるわけだけど、仕事はあくまで生活の手段、と割り切っている人が多いからこその考え方だと思います。
さらに言えば、部下が時間通りに帰れるようにマネージメントをするのが上司の仕事なので、部下の仕事がまわらない=上司の責任になります。上司の采配でどうにもならない=人事がチェックしてない、となります。
役割分担がきっちりされているので、うまく仕事がまわらないと、責任を負っている人が注意されます。なので、必然的に仕事がまわりやすい状況になるんでしょう。
そういう考え方をすれば、ある意味でドイツは合理的な働き方をしています。
元バイト先のレストランの店長は、売上と人件費の比率がおかしい=ちゃんとシフト組めてない=職務怠慢でクビになっていました。怖い。
ドイツの働き方は合理的じゃないけど楽
日本の労働環境はやたら拘束時間が長いことが多いので、結局は仕事が生活の優先順位の中で上にきちゃいますよね。
だから「自分も苦労してるからお前も苦労しろ!」って足の引っ張り合いになるんだと思います。
ドイツだと、お互い楽して仕事終わらそう、みたいな感じが伝わってきます。
早く帰って家族と一緒にビール飲みたい、みたいな。だから「休暇楽しんでね!」って言える。そっちの方がわたしは好きだなぁー。
ドイツの労働環境の話になると、「ドイツは階級社会だから」と言われるのですが、今回は趣旨が外れるので割愛。
ドイツの働き方が合理的かって言われたら「微妙」って答えるけど、労働環境に限って言えば「働くのが楽」だとは思います。