義理人情が美徳とされていた日本ですが、最近は人間関係が希薄だのどうのと言われます。それにともなって盛り上がってるのが、「イヤなやつとの人間関係はすぐに切ればいい」論。
たしかに、人間関係は切ろうと思えば結構あっさり切れます。でも繋ぐのってなかなかむずかしいんですよ。
切ったほうがいいこともあるけど、「俺の生き方に合わないやつは即ブロック。俺のこと否定する人間とかいらない」ってドヤ顔する人は、だれにも看取られずに息を引き取ればいいのになって思ってます。
人間関係をすぐに切る人たち
最近、「人間関係に振り回されない」論を唱えている人が多いですよね。で、その極論が「人間関係はどんどん切ろう!」って考え方。
たしかに、人間関係っていうのはストレスが溜まります。くだらないしがらみのせいで落ち込んだり、イヤな気持ちになることもあるでしょう。
でも、だからって「気に入らないヤツはどんどん切って人間関係整理!」っていう考えは理解できません。
人間関係の整理って、なんだ?
「人間関係に振り回されないために、考えが合わなかったら即関係を切ろう」っていう人は、やたら人間関係の整理をすすめてきます。
そういう人は、人間関係に関してブラック企業みたいな考え方をしてるんじゃないかと思っています。どんどん採用して、都合が悪くなったらポイ。友人ですら消費しているからそんな考えになるんでしょう。
「キライなやつと仲良くしろ」「みんなとわかりあえ」とは言いません。が、「人間関係の整理」ってすごい思考回路だなぁーと思います。結局は、「自分を不愉快な思いにさせないイエスマンで囲おうぜ!」と言ってるように見えるんです。
そもそも、人間関係なんてどうやって整理するんだろう。「連絡とる人間」「連絡が来たら返す人間」「連絡きてもシカトする人間」とかに分けるってことなのかな? 人間関係をそんな基準で整理なんてできるの?
意見がちがう=敵なのか?
そういう人って、「自分と価値観の合わない人とは話すだけムダ」って思ってるんでしょう。たしかに、言いたいことはわかる。でも、どんなに仲が良くても、意見がちがうことなんてザラにある。それでもその価値観のちがいがおもしろいから仲がいいんじゃないかな。
それなのに、「俺のことを理解しない人と関わっててもしょうがない」と人間関係をすぐに切ろうとする。そんなこと言ってたらどんどん人が離れていくのは当然です。
意見がちがうからってすぐに「敵」認定しちゃうと、本当に人が離れていきますよ。すぐにブロックする人とかがそうですね。相手は、「すごくファンだけどこの意見は自分とちがうかな」くらいで書いたことも、「はい、敵認定!」ってすぐに切っちゃう。短絡的じゃない?
人は勝手についてくると思ってるの?
人間関係にわずらわされたくないってのはわかるし、一理あります。でも、誠意を持って人間関係を築かない人に、誠意的な好意は集まってきません。
いやね、みんなにいい顔する必要はないんです。ただ、「気に入らないから君は敵! 人間関係切りまーす」っていうのに違和感があるんです。わざわざ切る必要はあるのかな? 距離を置けばいいだけじゃない? 人格攻撃してくる人とかは別だけどさ。
そういう人は、人を切ってもまた新しい人がついてくるって思ってるんですよね。だからそういうことができる。それは人の勝手だけど、それを「俺がふるいにかけてやった!」ってドヤ顔するのはどうなんでしょうね。
関わりたくないなら関わらなくていい。でもそれを宣言する必要はないし、ほかの人に「人間関係はどんどん切りましょう!」っていうのはいかがなものかと思います。
人間関係はふしぎな縁で繋がっている
わたしは転校が多かったので、必然的に2,3年に一度人間関係を大整理することになりました。そこで思うのは、人間ってのはふしぎな縁で繋がってるんだなぁってこと。
距離を置くのはいいですよ。「なんか合わないな」って思うんなら、関わらなければいい。でもあえて人間関係を完全に切ってしまうのは、もったいないと思うんです。
環境や年齢の変化で、付き合う人が変わるのは当然。それをあえて「人間関係の整理」と言って、昔の自分を支えたり励ましてくれた人を切るのって、すごい神経だと思います。
人間関係をすぐに切るのはもったいない
毎日、多くの人と出会います。でもそのなかで、「人間関係」と呼べるほどの縁をつなぐ人は限られています。いまある人間関係っていうのは、偶然とお互いの好意によってつながっているわけです。
そう考えると、せっかく結んだ縁をあっさり切ってしまうのはもったいなくないですか? そんなかんたんに捨ててしまっていいんですか?
仲が良くても、転校によって疎遠になった友達はいっぱいいます。でも日本に帰国したとき、「久しぶりに会おうよ」という話になって、数人と10年ぶりに会ったりしました。すごい縁だと思ったんです。だってもう切れかかってたつながりですから。
人間関係を切るのは簡単です。「もう関わらない」と宣言すればいい。相手の連絡をシカトすればいい。でもせっかくつないだ縁なのに、もったいないです。
人間関係は切る必要はない
パワハラ上司やアンチに変わった元ファンとかと仲良くする必要はありません。でも人間関係の整理が大好きな人は、切る必要がない縁ですら、自分勝手な基準でふるい分けちゃいます。
せっかくつないだ縁を、あえて切る必要ってありますかね? 距離を置けばいいだけじゃない?
人間関係の整理と言えば、すっきりして快適になるように思えます。でもめっちゃむなしいですよ。いままで培ってきた縁を切り捨てるんですから。それを繰り返していけば、だれもまわりにいなくなります。いつ切り捨てるかわからない人と仲良くしたくないもん。
みんなで仲良しこよしする必要はないけど、いまある縁はできるだけ大切にした方がいいです。人間関係を切ってしまえば、だいたいの場合その人との縁はもう結びなおせません。もう二度と結びつかないんです。悲しいじゃないですか。
というわけで、わたしはいまある縁を大切にしたいし、安易に人間関係を整理するのはおススメしません。
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