わたしがドイツに留学したとき、たいしてドイツ語を話せませんでした。でも1年の留学を通じて、C1(TOEIC換算で945点以上)にまで到達。
自分がどうやってC1までドイツ語を磨いたのか、4年前の記憶を引っ張り出しながら振り返ってみようと思います。
ドイツ語検定B1→C1までの道のり
まず、留学時点のドイツ語力はドイツ語検定2級でした。CEFRでいうところのB1です。英語でいうと、TOEIC500点ちょっとくらいですね。
基礎は修了してるけど、たいしたことはできません。
カタコト会話できるかなー、がんばってレストランで注文しちゃうぞー、くらいのレベル。
で、1年後、留学を終えるタイミングでは、C1になっていました。TOEIC換算で満点近くのレベルです。ちなみにC1とると、現地の大学に入学できます。
手前味噌ですが、留学生でC1は結構すごいです。英語圏は知らんけど、少なくともドイツ留学生ではがんばったほうです。
「すごーい★」って言われるの大好きなので、自分がどれだけがんばったか盛大に誇ろうと思います。まぁ過去の話だけどな。
ドイツ語検定2級でもまったく話せなかった初期
実はドイツに来て1週間、まったくドイツ語を話しませんでした。留学生を助けてくれる現地学生が日本語話せる人だったので、甘えまくり。
ドイツ語? ムリムリ、話せないもん!!
でも留学3日目くらいで、現在一緒に住んでる彼に出会います。彼は日本語を話せないので、強制的にドイツ語モードに。
日本でちゃんと勉強たのに、実際話すとなるとなんにも単語が出てこない。もうやだ帰りたい……。
絶望的な気分になるわたしですが、みんな留学生にめちゃくちゃ優しくて、何度聞き返しても怒らないし、どんなにゆっくり話してもわかろうと耳を傾けてくれました。
「あ、話せなくてもいいんだ! ドイツにいるんだしドイツ語話そう!」という気になってきました。
メモ魔、覚醒。例文ごとすべてメモを取る
留学中に語学力が上がる人の特徴🌟
— 雨宮@フリーライター🇩🇪 (@amamiya9901) May 26, 2018
・わからない単語はすべてメモ
・例文と一緒に単語を暗記
・覚えた単語はすぐに使う
・なぁなぁにせず文章を最後まで言いきる
・うまく伝わらなかった表現はネイティブに言いなおしてもらい暗記
・わからなければ堂々聞き返す
・ネイティブに包囲されてもビビらない
わたし、メモ魔なんです。小さい頃からなんでもメモを取る。いたるところに紙の破片が散らばってます。
なので、ドイツ語も全部メモしました。わからない単語、全部です。会話のときは、常にノートとペンを用意。新聞記者かよ。
聞き慣れない単語が出たら、その意味を尋ねます。すると相手は、例文を合わせて意味を教えてくれます。
「ドアを閉めて、鍵を入れてこうverschließenする」
「(カギをかけるってことか。)どうやって使うの?」
「Ich schließe die Tür abとか」
「なるほどー」
みたいな感じです。こういう聞き方をすると、類義語(たとえばverschließen)も例文もメモできるので、勉強がめっちゃはかどります。
タンデムで日本語を教えながらドイツ語の勉強
↑こんな感じで単語帳にまとめていました。
なぜこんなに使いづらい単語帳にしたかは謎
わたしは留学中、週10くらいでタンデムしていました。
タンデムというのは、言語を教えあうことです。わたしはドイツ人からドイツ語を習い、逆にその人に日本語を教える。みたいな感じ。
1時間ごとに言語を入れ替えて話したり、ドイツ語を話せないうえ断れない気弱な日本人をとっ捕まえて日本語の練習に利用しているドイツ人も結構いました。
わたしのタンデムは、基本全部ドイツ語でした。相手が「日本語を勉強しても日本語が話せない」という感じだったので。
こっちとしてももちろん大歓迎。
「mischenとrühenのちがいは?」
「『AとBは同じくらいいい』ってどう言うの?」
みたいな質問リストをずらーっと作って、とにかく質問しまくる。そしてわたしはタンデムパートナーに日本語を教える。Win-Win。
(ふつうに仲良しだったんでしょっちゅう会ってたタンデムパートナーの図)
「君の顔は終わりに見える」と日本語で言われて、「ドイツ語ではそう言うけど、日本語だと失礼だよ! 日本語では『疲れて見える』『元気ないの?』って言うんだよ!」とドイツ語で教えたり。
プレゼントに対し「気をつけます」と言われて、「『気をつける』って日本語はドイツ語のaufpassenとはちがって、どっちかっていうとAufmerksamkeit的な感じだから、プレゼントに対しては『大切に扱う』って言い方で……」とドイツ語で説明したり。
日本語をドイツ語で解説していくうちに、なんかめちゃくちゃドイツ語が上達していました。
言葉のニュアンスのちがいが明確になるから、日本語をドイツ語で説明するのは超おすすめです。
ネイティブのナチュラルな一言を聞き逃さない
ドイツ語で会話していると、「こう言いたいけどどう言えばいいかわからん……!」という状況が出てきます。
たとえば、だれかに電話をかけるも繋がらなかったとき。「電話に出ない」ってなんて言うんだ?
すると友だちが、「Geht er nicht dran?」と聞いてきます。「なるほどそう言うのね!」とメモ。後日タンデムで詳しい意味や使い方を聞きます。
ほかにも、遊びに行く予定だったのに、いろんな事情が重なって流れたときに、友だちがつぶやいた「dumm gelaufen」という言葉。
(直訳『バカな進行をした』→『タイミング悪い』『ツイてない』的な意味)
こういう日常の何気ないドイツ語の表現をすくっていくと、語彙力はグングン上がります。
とくに口語(俗語)を理解できるようになるので、日常会話がはかどるんですね。
あと、とにかく聞きまくって書きまくれば、「こいつガチやな。教えてやるか」ってなって、みんないろいろ教えてくれます。
レストランで「この席でいい?」と聞かれ、「わたしにとってはOK」と返すと、「von mir ausやmeinetwegenっていう表現があるよ」みたいな。
それを即メモして、覚えて、使う。
勉強したものはすぐに実践で使う
(ドイツ語→ドイツ語で勉強してみたの図。効率悪かった)
ドイツ語には、「je...,desto...」っていう慣用句があります。「○○するほど××になる」という表現ですね。
それを勉強したら、その日だけで10回くらい使います。友だちに「勉強したから使うね!」と言っておけば、「その使い方はOK」「それはNG」と教えてくれます。
接続法2式は壊れた人形みたいにひたすら繰り返してた
単語もそうです。使わなきゃ覚えません。メモを単語帳にして暗記、暗記したものは即使います。
使う場面がなくても、「この単語を使いたいんだけど、たとえばこういう文章のなかで使うのはアリ?」と聞きます。
覚える為に使うっていうのもそうなんだけど、意識しないと簡単で汎用性の高い単語ばっかり使っちゃうんです。英語でいう「do」とか「make」とかですね。
それでも伝わっちゃうけどやっぱり良くないんで、意識的に新しい単語を使いました。
とにかく、聞く、書く、使う、確認する。これを毎日毎日、毎時間、毎分、毎秒のように繰り返す!!
でも友だちはあくまでボランティアで教えてくれてるので、相手の役に立つように日本語教えたり、お礼にご飯作ったり、そういうのは大事だよ!! 利用するのはよくないよ!!
語学学校でテストDaF対策
(testDaF講座のテキスト)
ぶっちゃけ留学生のモチベーションなんて、たかが知れてます。半ば旅行気分の人も多いです。
それが悪いわけじゃありませんが、語学学習の環境としてはあんまりよくありません。わたしなんて1学期目でドイツ語コース修了しちゃって、2学期目はドイツ語の授業ありませんでしたからね。
意味わかんねーよ。ドイツ語教えろよ
だからわたしは目標として、testDaF(TOEFLドイツ語版的なやつ)の受験を決め、そのための対策講座を受けに語学学校に通うことにしました。
大学よりももっと本気でアカデミックなドイツ語。大学に通いながら毎日語学学校にも通い、両方の宿題をこなし、タンデムする。
テストの受験に200ユーロもかかるし、語学学校もお金がかかるので、学校の語学コースよりも本気でした。
クラスメイトもみんな「ドイツで就職したい」「ドイツの大学に入学したい」という人ばかりでモチベーション高かったし。
1年の留学でドイツ語をC1にすることは可能である!
とまぁわたしはこんな感じで、ドイツ語初中級→上級までドイツ語力を叩き上げました。はい、がんばりました。
こういう生活を1年間続けた結果のC1なので、「ドイツにいたんだー。ドイツ語話せるんだー」って当然のように言われるとイラァッとします。
医学部に入学したからといってだれもが楽に医者になれるわけではないのはみんな知ってるのに、海外に住んでいれば外国語がペラペラで当然、住んでいれば話せるようになるもの、と思い込んでいる人がこんなにも多いのはなぜなのか。
— 雨宮@フリーライター🇩🇪 (@amamiya9901) June 1, 2018
外国語を習得した人はみんなちゃんと勉強しているんだぞ。
まぁ留学の楽しみ方なんて人それぞれだから、「本気でやれ!」とは言いません。
でも、語学、とくに英語以外の言語は、現地でやるに限ります。
また、語学力はただ就活で使えるステータスではありません。ちがう国の文化や価値観に触れる媒介、ツールなのです。
C1のドイツ語があれば、ドイツの大学に入学できます。就職もまぁ……心意気があればいけます。基本的に、ドイツ人と同じ土俵で勝負することが許されるのです。
そして1年間のドイツ留学で、ドイツ語をC1にすることは可能です。事前に基礎文法や単語をひととおり理解しておくこと、現地で本気出すことが条件ですが。
せっかく留学するんだから、楽しくドイツ語やってC1とってドヤ顔しよーぜ!!