ドイツの大学に正規入学するまでの手続きや手順、必要なものをすべて解説します!ここでの正規入学とは、大学に入学して学士をとる話です。留学じゃありません。
また、大前提として「大学によっていろいろちがうので最終的には自分で確認する」ようにお願いします。
※例があるとわかりやすいと思うので、記事中ではわかりやすくベルリン大学(フンボルト大学)を参考にしています。
- 1.大学入学に必要なものを調べる
- 2.志望学部の情報を調べまくる
- 3.入学前に一度アドバイザーに相談すること
- 4.願書提出、結果がきてからすること
- 5.ドイツの大学入学の最難関!?語学証明
- ドイツの大学入学を目指すならどの語学証明がいいのか
- ドイツの学生ライフを楽しんでね!
1.大学入学に必要なものを調べる
ベルリン大学を例にとって、まずは「Humboldt uni bewerbung」とググってみます。
そうすると「ドイツ、もしくはEUの志願者」と「インターナショナル志願者」のふたつのページに案内されました。日本人は域外なので、インターナショナル、もしくはausländerと書かれている方をチェックします。
ベルリン大学は「Bewerbungs- und Studieninformationen zum Download」と、入学手続きの情報をまとめてダウンロードできるみたいです。親切。
そうでない場合は「Bewerbungsverfahren」的なものをさがしましょう。そのページに、どういう順番でなにをすべきなのかが書いています。
今回参考にするのは、ベルリン大学のこのサイトのドイツ語pdf→Zulassungsbüro für internationale Studierende — Humboldt-Universität zu Berlin
英語もありますので、得意な言語のものを参考にしてくださいね。
どの大学でも入学するときに必要なもの
履歴書、パスポートのコピー、証明写真。これは基本的にどの大学でも必要なので、用意しておきましょう。履歴書の書き方は、「Muster Lebenslauf」でググりましょう。
場合によっては「オンライン願書」みたいなのに履歴書がくっついていたりするので、自分の大学が要求するとおりに書いてくださいね。
ちなみにドイツでは基本パソコンで履歴書を書くので、 パソコンでも問題ないと思われます。わたしは大学が履歴書の紙を用意していたので、手書きで記入しましたが。
日本の高校卒業証明書
大学に行くんだから当たり前ですが、高校卒業してなきゃいけません。なので、高校の卒業証明書が必要になります。
Kopien aller Zeugnisse der Vorbildungというのは、高校の成績のコピーという意味です。「高校の卒業証明」と「高校の成績」はちがうのでご注意を!
成績は「どれくらい単位をとったか+内申の証明」になり、卒業証明は「大学入学の資格がある」証明となります。
わたしは日本で大学も卒業していたので、高校の成績+卒業証明+大学の成績+大学の卒業証明の4つを用意しました。
ベルリン大学は日本語の原本と英語 or ドイツ語両方必要っぽいですね。わたしの大学では英語版だけでOKでした。
さらにわたしの大学では「beglaubigte Kopie」、つまり正式なコピーと認められたものが必要でした。
その場合は、対応している役所を調べて、原本とコピーを持って行きましょう。役所の人が2つを見比べて「正式なコピーである」というスタンプを押してくれます。そのスタンプだけなのにお金もかかりました……!
大事なAnerkennungってなに?
わたしは4月入学だったんですが、12月にAnerkennungの締め切りで、めちゃくちゃ焦った記憶があります。
Anerkennungはなにかというと、「高校卒業したのはわかったけど、それがドイツでも認められるかチェックするよ!」ってやつです。
日本人は基本、書類を提出すれば日本の高校卒業=ドイツの大学入学資格アリになります。
が、ベトナム人の友達は、「ベトナムの高校はドイツの高校のレベルではない」という理由で、1年間Studienkollegという講座を受ける必要がありました。
つまり、高校の卒業証明書を持っていっても、Anerkennungがなければ「その高校卒業したのはわかったけど、ドイツの大学に入学できるかは別の話」なわけです。
ベルリン大学をちらっと調べたところなんかよくわからなかったので、自分の大学はどうか調べてみてくださいね。
ドイツの大学入学に必須の語学力の証明
Nachweis deutscher Sprachkenntnisseは、ドイツ語能力の証明です。
語学証明は、3つの方法があります。が、学部によって必要な点数がちがったりしますので、ご注意を。医学部は高くて芸術系は低いことが多いです。
語学証明はくわしくはのちほど解説します!
2.志望学部の情報を調べまくる
必要なものがわかったら、書類を準備しつつ学部情報を集めましょう。4月入学を行っていない場合や、学部特有のテスト(建築学科など)がある場合もあります。
法学部や医学部の様子は知らないので、ちゃんと自分で調べてくださいねー!
まずは「Bewerbungsfrist」でググって、締め切りを確認しましょう。わたしは冷や汗たらすほどぎりぎりだったから、みんなは気をつけてね!
ドイツの大学にある主専攻と副専攻って?
わたしの大学の法学部や経営学部は副専攻が必要ないので、志望学部は副専攻が必要かどうか調べてみましょう。
また、主専攻と副専攻のどういった組み合わせが可能なのかもチェックです。
ベルリン大学の場合はここから→Bachelor- und Masterstudiengänge an der Humboldt-Universität zu Berlin
たとえば「Frankfurt Uni Bachelor Studienangebot」とフランクフルト大学で調べてみると、学部一覧がでてきます→Goethe-Universität — Suchmaske
Hauptfach mit einem Nebenfach:主専攻なので、副専攻が必要
Nebenfach:副専攻なので主専攻が必要
Hauptfach ohne Nebenfach:副専攻が不要な主専攻(化学なら化学のみ)
Lehramt:教員免許をとる学科。ドイツ語でもLehramtならドイツ語教師、ただのDeutschなら言語学、Germanistikならドイツ文学になるので注意
NCかZulassungsfreiか要チェック!
ドイツの大学に入学する時、NCかZulassungsfreiかで、入学の難易度が大きく変わります。
- Zulassungsfreiは志望者は全員入学許可が下りる
- NCは高校の成績によって足きりがある
NCとは、人気学部や受け入れ人数が少ない学部で行われる足きりです。志望者の成績をみて、「この成績以上の人を受け入れる」というボーダーを決めます。
ドイツの成績は1,0が最高で、1,3、1,7、2,0、2,3と下がっていき、4,0が最低合格点、5,0が落第です。
ベルリン大学の2014/15年冬学期を見ると、教育学が2,0なので、ボーダーラインは評定平均4,0くらいですかね。心理学はどの大学も人気なようで、1,2。評定平均4,8くらいが必要で、入学難易度は高めです。
逆にフランス語専攻はNCだったものの「全員入学許可」だったので、志望者が少なかったんでしょう。
ドイツの大学入学の資格があることを証明するため、高校の成績と卒業証明をAnerkennungする必要があります。そのとき、「日本の内申をドイツの成績」に換算してくれます。
Anerkennungが終わり書類が届いた時点で、自分の高校の内申がドイツではどの程度かがわかります。そのあと、志望学部の難易度を見てみましょう。
とはいえわたしの場合、NCで落ちてもZulassungsfreiに申し込みしなおすことは可能でした。ここらへんは締め切りをよく調べておきましょう。
3.入学前に一度アドバイザーに相談すること
必要なものがそろったー!と思って安心してはいけませんぜ!
ネットに乗っていないことも「ルールだから」ってはねのけるのがドイツですからね!
なので書類を提出する2週間前くらいに、アドバイザー(Ansprechpartner)に相談しておく方が安全です。
- 外国人の入学許可に関するアドバイザー(für ausländische Bewerber)
書類に不備がないか確認してもらいましょう - 語学証明のアドバイザー(für den Nachweis der Sprachkenntnisse)
問題がないか確認しましょう。志願前に語学証明ができない場合も一度手順を確認しましょう - 学部の入学アドバイザー
授業内容や履修についてのアドバイスなんかも最初に聞いておきましょう
「Ansprechpartner」でググれば「Sprechstunde」で、いつ相談にいけるかが書いてあるはずです。
「知らなかった」ことが原因で入学ができないなんてたまったもんじゃありませんよね。なのできちんと話を聞きに行きましょう。
4.願書提出、結果がきてからすること
ちゃんと締め切りを守って書類を提出したら、おとなしく返事を待ちましょう。
が、わたしは心配性なので、「この受験番号の書類は届いたか」という連絡はしました。届いたかどうかくらいは答えてくれます。
ちなみにわたしが合格通知を受け取ったのは、かなり遅かったです。学期開始日直前で、やきもきしました。
合格書に書いてあることを読む
ここからはベルリン大学ではなく、わたしが受け取った書類をもとにやっていきます。大学によってちがうので、自分がもらった書類をちゃんと読みましょうね。
ちなみに合格書は順次発想というアレで、いつ来るかわかりません。
入学意思証明を送る
Annahmeerklärungという書類が入っていて、そこにサインをして「Zusage(合格の受け入れ)」にチェック、スキャンしてメールで送り、さらに数日後、ちゃんと届いたか直接確認に行きました。
入学意思を示さないと、気付いたら学籍がなかった、なんてことになりかねませんからね。
必要だったものリスト
わたしが必要だったものを書いておきます。
- 健康保険の証明書
書類に詳しく書いてるだろうけど、学生はワーホリの保険とかじゃダメですよ - 学費を払い込んだ証明書
- 証明写真
- パスポート
- 語学証明
これを持って指定の時間、場所で入学手続きをしましょう。1~2週間で学生証が届くはずです。とのこと。
さらに、入学許可が下りた時点で、外国人局にオンライン予約しておきましょう。ビザの書き換え or 取得です。
予約日時がかなり先の場合(わたしの場合3ヶ月先だった)は、入学手続きを完全に終えたあと、予約ナシで行って「ビザの代わりになる証明書」をもらってきましょう。
入学許可書と学生証があればいけるはず。
5.ドイツの大学入学の最難関!?語学証明
実は入学許可が下りるかどうかと、語学力があるかどうかは別の話なんですね。別のやり方で進んでいくので、語学力ゼロでも極論、入学許可自体は下ります。
で、入学許可+語学力証明=入学!って感じです。
書類には「入学手続きをするときに、 語学証明書を持ってきてください。まだの人はDSHを以下の日時で開催します」と書いていました。
ちなみにどこか忘れたけど、「1年以内に語学証明をする+ドイツ語の補講を受ける」という条件で、語学力が足りなくても入学ができる大学もありました。語学力に自信がない方は、そういう大学を探すといいかも。
各大学の独自入試・DSHを受ける人
DSHとはそれぞれの大学の独自試験です。大学のサイトから過去問なんかも見れると思うので、調べてみてください。
それぞれの大学が対策講座を開いているので、語学力が足りない人はまずその準備コース(半年~1年)を受けてからテストを受けます。
DSHはアカデミックドイツ語試験って感じです。大学独自のテストなので汎用性は低いですが、そのぶん準備コースでちゃんと勉強しとけばだいたい受かります。
わたしはDSHが不要だったんですが、合格許可証と一緒に「DSHを受ける人はこれ読んでね!」って書類が入ってたので見てみました。
すると、4月18日から授業がはじまるのに、4月14日にDSH試験という鬼畜スケジュール。
つまり順序としては、入学許可をとる→DSH試験となるようです。たしかに入学できない人に試験してもしょうがないけどさ……。
ほかの方法で語学力を証明する場合
DSHを受けないのであれば、事前に準備をしていきましょう。どのテストのどれくらいの成績が必要かは大学・学部のサイトで確認してください。
- testDaF:2年以内のもの、などという縛りに注意。
- Goethe Institute:上に同じ
- 日本の大学でドイツ文学科を卒業した人:わたしの場合、ドイツ語の授業(日本の大学)+ドイツ語で開催された授業(留学期間)の単位数が規定を満たしていたので、大学の成績証明+留学中の成績証明でOKでした。
ドイツの大学入学を目指すならどの語学証明がいいのか
完全な主観ですが、「どうしたらいいかわからない!」という人のためのアドバイスです。あくまで参考までに。
DSHは一番確実だけど対策は自力じゃムリ
DSHは独自のテストなので、自力では対策しづらいです。ベルリン大学の例題はこんな感じです→DSH-Musterprüfungssatz — Sprachenzentrum
自力では対策しづらいぶん、大学が対策コースを用意しています。「DSH Vorbereitungskurs 大学名」で調べましょう。
ベルリン大学はいい感じの情報が見つからなかったので、フランクフルト大学で。準備コースの内容は、こんな感じです→Goethe-Universität — DSH-Vorbereitungskurse
準備コースへの入学は、大学入学に比べてかなり楽です。でも結構お金がかかるので、(ふつうの語学学校レベル)そこは覚悟しましょう。
わたしは準備コースを受けていないので入学難易度がどれくらいかを伝えるのかはむずかしいですが、ベルリン大学の準備コースはtestDaFが3×3×3×3で足りるそうです。
ゼロからはじめて早い人は3ヶ月、順当にいけば1年かからず、準備コース入学のレベルにはいくと思います。
わたしのまわりには、ワーホリ1年しながらドイツ語を勉強→準備コースを1年受けて入学パターンが多いですね。
現地で勉強して大学に入る、という選択肢があるのなら、DSHは楽で確実です。でも準備コースは「その大学のDSH」の準備コースなので、入学する意思のある大学でとらないと、あんまり意味がありません。
大学が決まってないのなら、ふつうの語学学校でtestDaF対策した方がいいと思います。
未定要素が多いならtestDaFが潰しが利く
この方法を選ぶなら、希望学科がtestDaFに対応してくれることが前提になりますが、多くの大学が認めていますのでたぶん大丈夫でしょう。
DSHというのはその大学の独自試験なので、潰しがほとんど利きません。
たとえば「ベルリン大学に行きたいしベルリンにも住みたい!」っていうんなら、ベルリン大学のDSHでいいんですが、「いまベルリンに住んでるけど、フランクフルト大学に行きたい」「日本からドイツの大学に申し込みたい」のであれば、DaFがおすすめ。
DaFのいいところは、「全世界で受けることができる」「大学以外にも使える」ということです。
たとえばワーホリビザでドイツを旅しつつ、各地の語学学校でDaF対策をしても良し。大学行かないでやっぱりドイツ就職しよーっていうときにも、DaFは使えます。
ただし、DSHの方が「やや」難易度が下がるそうです。わたしはDaFの方が解きやすかったけど。
ゲーテインスティトゥートのC1
日本の青山、そしてドイツに何か所もある語学学校、ゲーテインスティトゥート。ブリティッシュカウンシルのドイツ語版みたいなイメージです。
ゲーテでは語学レベル別のテストをやっていて、それでも語学力の証明になることが多いです。ちなみに授業の質はいいけどクッソ高いので、長期戦覚悟の人にはおすすめしません。
ゲーテのC1はアホみたいにむずかしい問題がでるので、正直おススメしません。ドイツ人が「こんな方言、外国人がわかるわけないだろ!?」って言うような問題が出ますので。
個人的には「入学大学が決まってるならDSH」「複数の大学に応募・就活も視野に入れているならDaF」というイメージです。
ドイツの学生ライフを楽しんでね!
晴れてドイツの大学に入学許可が下りたあなた! これからたくさん楽しいことやつらいことに挑戦していってください!
「すべてがいい経験」というのは嘘ではなく、良いことも悪いことも、きっとあなたの人生の糧となります。