最近、イケダハヤトさんの影響で、「田舎へ移住しよう!」という動きがでてきましたよね。わたしも山口のおばあちゃんの家のそばで、まったり暮らしたいです。
で、ミニマリストっていうのも流行ってます。ツイッターでは、「いかに荷物が少ないか自慢」なんかも繰り広げられているようで。
でもそれって、まったく驚くようなことじゃないんですよね。
アニミズムが根付いている日本では、自然と共存するのは当たり前だったし、江戸時代なんて町民はたいした家具を使ってなかったわけですから。まったく不自然なことではありません。
なんやかんや言って、みんな「あるべき姿」に戻りたいだけなんですよ。
田舎移住とミニマリストの原点回帰
もともとミニマリスト、という考えは理解できませんでしたが、いま思うのは、原点回帰だということ。
で、田舎移住っていうのも当たり前の話で、人間は機会や高層ビルよりも、自然の中に身を置いたほうが、安らぐんですよ。すごくかんたんだけど、心が豊かになるためには、 のどかな生活を送るのが一番の早道です。
だから田舎移住の流れもミニマリストのブームも、言っちゃえば当然ですよね。
田舎移住としての原点回帰
わたしは横須賀に住んでいて、横浜まで電車で30分の地理にありながら、ちょっと田舎っぽい感じです。家から3分で海です。
山口県のおばあちゃんの家も、家から3分ちょっとで海につきます。
大学のある池袋に通っていたとき、ちっとも心が休まりませんでした。モノとヒトが多すぎなんです。ソワソワするというか、違和感があるんですよね。
ざっくり言えば、ヒトとモノに囲まれるより、自然に囲まれていたほうが、心が豊かになるんですよ。人間の歴史、特に日本人の軌跡をみれば、当然です。
↓こっちより↓
↓こっちの方が↓
心が豊かになれますよね。当然です、人間だって動物なんですから。気が遠くなるほどの長い時間、人間は自然のなかで生きていました。ちょっと頭がいいから、いろんな技術が発展してモノがあふれるようになったけど、本質は変わりません。
もちろん、「都会が好き」って人もいるでしょう。でも都会は飽きますよ。ちょっと楽しめば十分です。一度すべて手に入れてみると、結局は元の「おだやかな生活」にあこがれるものです。
ミニマリストという原点回帰
最近は、ミニマリストなんて言葉も流行っていますよね。モノを最低限しか持たず、欲を捨て、モノの束縛から解放されることです。
高度経済成長からバブルまでぐわーーーっと上へ駆け上り、「買え、使え、買い換えろ!!」という風潮でした。それがいまや、「買うな、捨てろ、買おうとするな」になるんですから、おもしろいものです。
歴史は繰り返すといいますが、江戸時代、西洋の概念が入るまでは、日本人は基本的にミニマリストでした。
実際日本には家具の類がいっさいない。せいぜい部屋の片隅に、長さ一メートル、幅、高さともに六十センチのこんろに似た持ち運びのできる小さな竈があるくらいのものだが、家族の質素な食事を用意するには、それでじゅうぶん間に合う。
日本に来て私は、ヨーロッパで必要不可欠だとみなされていたものの大部分は、もともとあったものではなく、文明がつくりだしたものであることに気がついた。寝室を満たしている豪華な家具調度など、ちっとも必要ではないし、それらが便利だと思うのはただ慣れ親しんでいるからにすぎないこと、それらぬきでもじゅうぶんやっていけるのだとわかったのである。
シュリーマン旅行記 清国・日本 (講談社学術文庫 (1325))
伝統的な日本家屋で思い浮かべる家具といったら、ちゃぶ台とたんすくらいなものですからね。もともと日本の生活には、たいした家具を使う必要がないんです。
ミニマリストが最先端なのではなく、あるべき姿に戻りたいという、当たり前の感情なのです。原点回帰です。
田舎移住もミニマリストも、ただの原点回帰
田舎へ移住することは勇気が必要なことでもなければ、ミニマリストとして生きるのがカッコイイことでもありません。ただ、いままであった、日本人としての自然な営みに戻るだけです。
わたしを含め多くの人は、文明の進歩の恩恵にあずかっています。でも、そうじゃなかった歴史の方が、圧倒的に長いんです。
京都から鳥取へ移住予定、ふだんも着物で生活し、ミニマリストでもある、『カナダから帰国したら都会が窮屈になった。』を運営している松本さん。
松本さんの写真を見ていると、「こういう生き方が本来のあり方なんだなぁ」と思います。
松本さんの暮らしは正直うらやましいです。が、「やっぱこうだよな」という気持ちもあります。個人的には、日本人は海と山のなかでつつましく生活するのがあってると思うんですよね。
だから田舎移住というのは思い切った決断でなく、故郷へ帰るだけ。ミニマリストが高尚なのではなく、本来の生活に戻るだけなんですね。
アイドルになって夢を叶えた少女たちが、「ふつうの女の子に戻りたい」と芸能界を引退するのも同じ。手に入れたあとは、手に入れる前のモノを恋しく思うんです。
どんどん働けばどんどんお金がもらえて、マイホームを建てることがステータス。そんな時代を経て、「自分らしく生きたい」と思うのは、当然の反動です。
仕事に縛られるとか、時間がなくてあくせくするとか、わたしとしてはそれは豊かじゃありません。ただ人生の浪費です。そういう生き方は、したくないと思っています。働くって、労働じゃなくて生きることだって気づいてから、特にそう思います。
わたしもいつか日本でまた暮らすことになったら、田舎で細々と、でも堂々と生きていきたいと思います。