楽しかったドイツの留学生活。でも、後悔していることもあります。「後悔」というと大げさかもしれません。ただ、「ちょっと残念だ」「もったいないことをした」と思っているんです。
ひとつのドイツ留学体験談として、5つの後悔をここに置いときます。
留学中の「失敗」とちょっとの「後悔」
留学中、わたしは「留学という機会を正しく最大限に活用している」と思っていました。
でも留学してから4年も経つと、「あれはこうしといたほうがよかったのかも?」「もう少しやりようがあったんじゃないかなぁ……」なんて思いが湧いてくるんですね。
というわけで、ドイツ留学時代を振り返りつつ、自分の失敗と後悔について書いておこうと思います。
ちなみにここでいう「留学」とは、現地大学の正規学生ではなく、日本の大学に籍を置きながらドイツの大学で学ぶことを指します。
留学中は日本人とかかわるのは「負け」
わたしは留学中、日本人とあまりかかわっていませんでした。顔を合わせたら話すし、誕生日会には顔を出すし、旅行も行ったので、完全にコミュニケーションを拒否していたわけではありません。
ただ、「日本人だけでつるむのは負け!」みたいな意地というか、プライドというか、思い込みがあったんですね。
おかげでたくさんのドイツ人と知り合えたので、当時は後悔していませんでした。
でも留学を終えると、「留学仲間と再会★」みたいのにまったく呼ばれなくなります。まぁ当然だよなぁ。
ドイツ人の友だちが日本に旅行に行くときも、「留学時代のみんなと会おう」って話にわたしの名前はありません。会うとしたら個人的にだけど、個人的なつながりって切れやすいんですよね。とくに国を越えると。
だから、「みんな」の輪に入っとくのも悪くなかったと思います。
「日本人だから仲良くする」必要はありません。でも逆に、「日本人だからかかわらない」というのも、バカみたいな意地だったと思います。
外国人とのコミュニケーションを拒否
そしてわたしは、外国人とほっとんど絡みませんでした。
わたしはドイツ語を勉強したくてしょうがなかったので、ほとんどの時間をネイティブと過ごしていました。
すると、外国人が話すドイツ語を聞き取るのがすごく苦痛に思えてきちゃいまして。ネイティブのドイツ語に慣れすぎた弊害というか……。
正直なところ、「ドイツ語の勉強するなら、外国人と話すよりドイツ人と話したほうがよくない?」みたいな思いもありました。
だから、授業後に他国からのクラスメイトとご飯を食べたり、誕生日を祝ったり、なんてことをまったくしていません。
とにもかくにもドイツ語勉強したい!!と思ってのことだったのですが、ちょっと自己中というか、利己的ですよね。
いろんな国の人とかかわり、理解し合う機会を逃してしまったのは、とてももったいなかったと思います。もっといろんな国の話を聞いとけばよかった。
お客さん感覚で大学の授業を受けていた
ドイツ語を勉強しまくる超絶マジメな留学生ではありましたが、意識のなかではあくまで「留学生」。お客さんです。
ちゃんと授業は聞いていたけど、結局のところ、本気ではなかったんです。
わたしは交換留学(休学していない)ので、ドイツの大学の単位を取得→立教で単位認定申請→卒業の予定でした。
だからドイツの大学の授業も取っていたんですが、ドイツの大学の単位って、本来取得がすごくむずかしいんです。
でもそのときのわたしはそんなことを知らなかったので、結構舐めてました。教授も「留学生だし」って感じで、かなり甘めに採点してくれていたはずです(当時は気づいてなかったけど)。
日露戦争や日清戦争について30分のプレゼンをしたり、枕草子を読んだり……。好きな授業を好きなだけ取れたくせに、ただおとなしく座ってるだけ。
質問することもなければ後日図書館で調べるわけでもなく、言われたことをノートにとって、覚えて、テストを受ける。で、「留学生」だから受かる。
「もっといろいろ勉強する方法あったんじゃねーの!? そんなんだからその3年後、ドイツで大学中退するんだよバーカ!!」って言ってやりたいですね。
留学中、もっと本気で授業を受けていたら、正規入学の後の心構えもちがっていたと思います。
大学以外の居場所を作らなかった
趣味も特技もないわたしは、学校と大学の往復で1年を終えました。大学には友だちがたくさんいたのでまったく支障はなかったのですが、せっかくならちがうコミュニティにも属しときゃよかったと思います。
たとえば、地域のスポーツクラブとか。ほかの大学の人と会ってみるのもよかったかもしれません。
人ごみが苦手&ほぼ酒飲めないのですが、もっとパーティーに行ってたら、またちがったはず。
ドイツっていうのは、階級社会です。大学の世界しか知らないと、「そこそこきれいなドイツ」しか見ることができません。
また、ドイツは年齢によって経験したことが大きく異なる国です。彼の両親世代は東西ドイツの教育を受けていた人で、その上になると欧州統合を実際に経験した人、さらにマルク時代のハイパーインフレを経験した人もいます。
だから、留学中いろんな世代・立場の人と知り合っておけばよかったなって思ってます。そうすれば、もっとドイツのことを深く知ることができただろうから。
「留学生」という肩書きのフル活用
あとね、みんな、留学生には優しいんです。だってお客さんだもの。当時は「ドイツ人ってみんな優しいじゃーん!」って思ってました。
でも移住すると、その優しさが「お客さん向け」だったことに気づきます。「留学生」という肩書きがあるのとないのでは、ドイツにおける扱いがまったくちがうんです。
だったら、「留学生」という、甘えるのに最適な肩書きをもっとフル活用しとけばよかった。
大学教授だって、「ワーホリしてるアジア人」より「正規留学生」のほうが会いやすいし、博物館は安く入れるし、学生の集まりなんかもたくさんあったのに。
一生懸命ドイツ語を勉強したことに後悔はないけど、「留学生だから許されること」は、「留学生」であるうちにやっといたほうがいいです。留学生じゃなくなると、できなくなるから。
「留学」するチャンスは限られている
物理的には「納得いかなきゃ何度も留学すればいい」って話になるんですが、現実的にはほぼ無理です。長期留学ってのは、たいてい1回きりのぶっつけ本番勝負。
大学卒業後海外に行くことはできても、交換留学を何度も繰り返すのは非現実的です。だからこそ一生懸命になるし、やりきれなかったことは「後悔」として残る。
まぁ失敗やら後悔やらもまた留学からの学びではあるんだけど、あえてみんなが同じ轍を踏む必要もないので、ひとつの経験談としてネットの海に放流しときます。
あーーーあと太ったのは後悔してる!! まぁしゃあないな!!