わたしが日本のバラエティ番組で笑えない5つの理由

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日本のバラエティ番組で笑えません

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一時帰国中にいろんなバラエティ番組を見たのですが、笑えないものばかりでびっくりしました。

デブ・ハゲ・ブスいじりは当然、そのくせ大御所には逆らえず、痛がったり苦しんだりするリアクション芸を見て笑い、素人コメンテーターがしたり顔でニュースについて語り、内輪ネタを披露して海外ゲストを困惑させる。

 

これ、おもしろいの……?

 

1.外見や独身いじりは「やっちゃダメなこと」

まず、外見や年齢、独身などをネタにする笑いに関しては、「いつまでやってんだよ」って感じです。単純に、楽しくないじゃないですか。ブスって言われている女性や、ハゲって言われている男性や、結婚できないのはお前に問題があるって言われている人を見るのって。

 

▽勝手に体重を測って公開されちゃうハプニング

ニセの“美容イベント”に呼ばれた女性芸能人が…、
気づかぬうちに「体重」を公開されちゃうハプニング!
「美」について意気揚々と語っているのも束の間…、
恐怖の体重公開で一同が慌てふためく!

出典:人気芸能人にイタズラ!仰天ハプニング150連発 - フジテレビ

 

これ、12月27日の特番の内容です。ただただ悪趣味だし、これを見て「同じだけ太っているわたしもこうやって笑われてるんだ」と傷つく人がいることを考えないんでしょうか。

 

芸能人がだれかはわからないけど、女性芸能人は痩せすぎが多いから、「それがふつう」だなんて視聴者に思わせたらなおさら罪深い

美容系youtuberなんて、160cm55kgで「ブタすぎてやばい。いまは43kgです♪」なんて言ってるんですよ。危機感ありません?

 

渡辺直美さんが大人気で、モデルの最低体重ラインを定め、加工した写真にはそう明記しようという動きがあるなか、まだこんなことやってんのか……とがっかりしちゃいます。

 

2.一般社会とはちがう歪んだ上下関係

言い方悪いけど、芸人の方の多くは、「芸人である」ということにかなり高いプライドをもっていらっしゃる気がします。それは別にいいんです、プロ意識はあったほうがいい。

でもそのせいで、「芸人の上下関係は絶対」なのに「芸人以外の人はいじれるならいじっていい」という傾向があるような気がします。

 

 

加藤一二三さんや吉田沙保里選手という超一流の人でも、ガンガンいじるじゃないですか。そこに全然敬意が感じられなくて。

しかも「相手がいじってOKならいじる」って感じで、相手を選んでやってるのもダサい。

 

ご本人は気にしていないのかもしれませんが、少なくともわたしは、偉業を成し遂げた人がバカにされているのを見て楽しい気持ちにはなれません。フレンドリーに話すのと失礼なことを言うのは、まったくちがいます

 

そのくせダウンタウンや明石家さんまさんには、失礼なことを言わないじゃないですか。M-1後の上沼恵美子さんに対する暴言は、こっちがびっくりするぐらいたくさんの芸人が言及して大騒ぎ。

まぁ暴言の内容は完全にアウトだけど、「ほかの世界のトップには平気で失礼なこと言うのに、芸人の先輩への暴言は一大事だなんて村社会だなぁ」という印象です。

 

そのくせ人気俳優や若手女優相手だと、卑屈なくらい相手を持ち上げて「モテるでしょう」「芸人の話を聞いてくれるなんて優しい」と言う。どんな上下関係なんだよ、意味わからん。

 

あと、「芸能人が原宿を歩いていたらどうなる!?」「芸能人がボーリングしてたら気づく!?」みたいなコーナーも見かけました。「ほーら芸能人だよ! 一般人どもは騒ぐんだろうなぁ!」という企画です。まごうことなき上から目線で笑いました。

番組では「一般人が芸能人に気づくかどうか」をやるくせに、プライベートで大騒ぎしたら嫌な顔をするんでしょうねぇ。

 

 

 

3.サディスティックでなければ笑えないリアクション芸

リアクションを『芸』としている人がいるのは知っています。その方たちなりのプロ意識があるのだとも推察します。ただ、リアクション芸はまったく笑えません。だって、痛がる、熱がる、苦しむ、のどれかだから。

 

激辛ラーメンを食べて痛がっている人、熱湯風呂で熱がっている人、泥沼に飛び込んで苦しんでいる人。見ていて楽しいですか? 体重公開されて慌てふためく女性を見て楽しいですか?

 

年末のガキ使でも罰ゲームが暴力的だのなんだのという話が出ていましたね。個人的にはどっちでもいいと思います。やろうがやらまいが。

ただわたしは、ケツバットされて「痛い!」と言っている人を見て、「おもしろい!」とは思いません。サディスティックな趣味はないので

 

まぁ「笑っちゃダメ」という趣旨だから、罰ゲームがあるのは必然的だし、やられたらリアクションする必要があるのもわかります。番組自体はおもしろいと思います。

 

ただ、苦しんでいる人を見て笑う趣味がなければ、日本のバラエティでよくあるリアクション芸では笑えません

 

4.報道バラエティのレベルの低さが驚異的

あと、報道バラエティやワイドショーといったジャンルの番組。あれ、なんなんでしょう。

 

いや、芸能人が政治について語るのはいいですよ、大事です。おおいにやりましょう。ただ、素人と素人が顔を突き合わせていても、視聴者に有益な議論になるとは思えません。それなのになんで「識者」や「代表者」を気取るのかな。

 

 

情報トークバラエティを謳う『バイキング』で、レギュラー出演者が平気で差別発言する。こんなレベルの人が、ニュースについて語るんですよ。いろんな人の意見があっていいけど、さすがにこれはない。

 

こういった差別発言を許す一方で、辺野古埋め立てに反対したローラさんに関しては「政治的発言」と大騒ぎ。

 

20日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」は、モデルのローラ(28)が沖縄の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関し、工事中止の嘆願書への署名を呼びかけた話題を特集した。〔……〕芸能人が政治的な話題に触れたことには賛否両論が飛び交っている。

出典:高木美保がローラの“署名呼びかけ”全面支持「政治的発言はタブーっていう発想を変えるべき」(東スポWeb) - Yahoo!ニュース 

 

児童相談所に対する偏見はOKだけど、「辺野古を守ろう」って言うのはNGらしいです。芸能人、とくに一部の芸人がさんざん報道バラエティで政治に関して話しているのに、ローラさんの政治的発言は「波紋」。意味がわかりません。「都合が悪いから」ってことですかね。

 

日本には、専門家が解説したり議論したりする知的バラエティが全然ないんです。

ニュースの外側を撫でてああだこうだ自分の意見をいうだけで、『分析』といえるほどのことをできる番組は本当に限られている。専門家を呼んでも、ほかのコメンテーターである女優や芸人が内容をわかってないから深まらない。

 

視聴者は、異なった意見や立場の専門家が根拠を提示したうえで持論を押し付け合うから「どっちが正しいか」と考えるんですよ。

知識もなく現場に行ったこともなく、だれかが取材したことに対して素人である芸能人が自分の感想を言うだけなら、ツイッターでいいじゃないですか。

 

5.海外ゲストをバカにする恥ずかしい内輪ノリ

最後に気になっていること。それは、海外から来日して出演してくださる海外ゲストの扱いです。

 

 

このツイートにも書きましたが、握手拒否はめちゃくちゃ失礼なんです。全然笑えません。機嫌損ねて帰っちゃっても責められないレベルです。やっちゃダメ。

相手へのリスペクトが感じられない扱いに、「日本嫌いになったりしないかな……」とドキドキします。まったく笑えません。

 

ゲストをアゲるためにそこらへんの芸人やモデルを貶めることがよくあるけど、そういうのが『笑い』にならない国も多くあります。だからゲストはみんな、「いいや、彼女だってとても美しい」「彼もセクシー」なんてフォローをしてくれるんです。ぶっちゃけ恥ずかしいよ、見ていて。

 

よく「お寿司食べましたか」「どこに行きたいですか」など、「日本についてわかってますよね?」という前提で質問しますが、相手はお仕事で来日してるんですよね。

相手がプライベートでよく来日する方ならともかく、そうでなければ、こういった質問はリップサービスの強要に思えます。じゃあお前は相手の国のことを勉強して来たのか?という……。

 

内輪ノリしかできないのなら、内輪ノリを理解している人だけで番組をやればいいのです。困惑させて気を遣わせるくらいなら、海外からゲストを呼ぶべきじゃないでしょう。

 

 

 

『芸』だけで笑わせられる人はいくらでもいる

 こんなこと書くとわたしが冗談通じない人に思えるかもしれないけど、わたしは楽しいこと大好きです。エンタメ好きです。

 

ただ、人の外見を笑ったり、痛がってる人を見て笑う趣味がないだけ。大御所に遠慮しまくるのを見て「うわー」って感じだし、「なんでこの人が文化人気取りでコメンテーターやってんだ?」とふしぎだし、海外ゲストには日本を好きになって帰ってもらいたい。

 

お笑い芸人の方のラジオとか、聞いたことありますか。外見をいじったりせずとも、大げさなリアクションをとらずとも、めちゃくちゃおもしろい人はいっぱいいます。『話術』だけで笑いを取れる人、たっくさんいるんですよ。落語とかもね。

 

それなのに、熱湯風呂に突っ込んだり、太ってるのをからかったり、大御所に気を遣ったり……。なんかおかしくないですか?

 

「わたしの意見を踏まえてこうすべき」とまではいいません。ただ、こういうバラエティではわたしは笑えないってだけ。

わたしは芸人の方たちの『話術』をたっぷり楽しみたいし、知的好奇心が刺激されるバラエティ番組が増えてほしいと思うだけ。

 

バラエティをおもしろくしようとしている人の努力を笑うつもりもありません。でも多くの人が見る番組としてはどうなんだろう、というところが多い。だから笑えない。

 

わたしが知らないだけかもしれないので、「いいやこういう番組もある!」というのがあったらぜひ教えてください。合法的にネットで見れるのであれば、見てみます。

年末年始に特番が増えますが、こういった番組が散乱するんだろうと思うと、なんともいえない気持ちになりますね。