「怒っても何も変わらない」状況にしないとクレーマーは減らない

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日本人は客になったとき、世界でも類を見ないほど横暴になる。……というのは言い過ぎかもしれませんが、日本人のクレーマー具合は本当にすごい。だからこそ、「怒っても何も変わらない」状況にしないとまずいんじゃないかなぁと常々思っています。

 

ゴネるもの勝ちの日本サービスの問題

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わたしは「ゴネたもん勝ち」が大嫌いです。どれだけ嫌いかというと、ひたすらゴネて割引をねだるおばさんを見て「キイイイィィィィッッ」と奇声を発したくなるくらい嫌いです。物分かりよく人を思いやれる人間が損をするなんて、理不尽もいいところ

 

でも日本のサービスでは残念ながら、文句を言えば言うだけ得をします。事実、いたるところで高圧的な客を見かけますよね。ドン引きするような要求を平気で突きつけるクレーマーがわんさかいるのです。コンビニで店員を土下座させる客とか、信じられませんよまったく。

 

じゃあそういうクレーマーが非常識でサディスティックなクズかといえば、必ずしもそうじゃない気がします。ふだんの日常生活においては割りとまともなんじゃないかな。

 

では、なぜふだんは割りとまともなのに、客になると振り切っちゃうクレーマーが多いのか。それは単純で、「怒ったら得をするから」につきます。これが、ゴネるもの勝ちの日本サービスの問題点。あーどうにかなんねぇかなァ!

 

怒らないと損をする日本

以前家具屋で働いていたとき、珍しく大雪が降ったことがありました。家具の配送なんて無理。電車も止まって、出勤できるかどうかも怪しいくらい。

その日家具の配送予定だったお客さんのほとんどは、「雪はしかたないですね」と言ってくださいました。でもね、いるんですよ。「それでも持ってこい」って言う人。

 

で、どうすると思います? ええ、持って行きますよ。その人のためだけに、社員が車出して。だって配送自体はストップしてるんだから。

 

居酒屋でもそうでした。「酒がこない! 早くもってこい!」と再三催促してくるテーブルの注文には、なにか言われる前にすでに『特急』をつけて注文を飛ばします。

そうするとキッチンやドリンカーの人は、それを優先して作りますから、早くできるんです。だってお客さん、怒っちゃうんだもん。

 

でもこういうのって、本当に理不尽でふざけてると思いません? 怒れば怒るほど得をするなんて。逆に、怒らなければ損するってことです。「大丈夫ですよ、大変ですね」と店員さんに優しくすれば、受けられる可能性があったサービスを放棄することになる。

 

損したくなければ、ブチ切れてどんどん要求するべきなのです。だから自然とクレーマーは増える。だれみんな、できるだけ得をしたいから。

 

この風潮大嫌いなんですよ。なんで優しい人が損すんの。

 

 

 

怒ると無視されるドイツのサービス

ではドイツはどうか。もちろん、まっとうなクレームなら対応してくれます。商品がぶっ壊れてたとかね。

でもそうでなければ、怒り狂った客と顔を真っ赤にした店員が罵声を浴びせあって口論になるか、店側が「いや無理」と客を拒否して無視するかの二択です。

 

結構前の話ですが、スーパーの配送サービスで野菜めっちゃ頼んだのに届いたのは半分以下だった……ってことがありまして。

「後日でいいので持って来てください」と言っても、「改めて注文してください」と言われる。しかも改めて注文する際、最低金額である5000円を超えてないと配達はできないとのこと。それがルールだから。

 

「いや注文したんだから持ってこようよ!? 今すぐじゃなくていいから!! 具合悪いんだよこっちは!!」と思ってねばりましたが無意味でした。はい。

 

配達系のトラブルはあるあるです。

 

 

ここで「今日って言っただろ! 持ってこい!」と言っても無駄です。というか17時なので、たぶんもう問い合わせの電話すらつながりません。怒ってもどうにもならんのです。

 

ドイツでは、「正当でありまともな怒り」であれば「だいたいの場合」対応してくれますが、過剰な要求をすれば相手にされません。なんなら面倒な客相手にはさらに対応が悪くなるので、余計なトラブルを招くだけです。

 

一度、あまりにも荷物が届かないからブチ切れたら、「もう知りませんよ! 送り主に返送しますから!!」って言われましたからね。返送するくらいならうちに届けろや。

 

文句を言ってもどうにもならない。だから客は理不尽な要求をしない。消費者的には腹たつことも多いけど、「ゴネたもの勝ち」にならないだけマシなのかな、とも思います。

 

「サービス」が見直されるなかで思い出したいこと

最近は日本でも百貨店や飲食店が年末年始休業したり、スシローが一斉休業したりと、「サービス」のあり方が見直されてきていますよね。

それと同時に、「ゴネ得」がまかり通っている現状の歪さにも目を向けていくべきでは、と思います。優しい人が損をするのはやるせないです。

 

わたしはドイツのサービスに慣れたので、日本ではかなり物分かりのいい客だと思います。時間通りに電車が来るだけで感謝できるくらいには調教されていますので。

でもそうすると、日本では損するんですよね。わがままな客の優先度が高いから。それはちょっとさぁ、ねぇ。

 

わがままな客ほど優先順位を下げて、「いいお客さん」に「いいサービス」をするようになれば、調子に乗ったお客さんもおとなしくなるんじゃないかと思います。まぁ理想論だけどね。でもサービス提供者は、その意識があったほうがいいと思う。そうじゃないと優しい客もクレーマーになるぞ。

 

ちなみにドイツのサービスについては、自身のバイト経験も含め拙著『日本人とドイツ人』でくわしく触れています。

日本の過剰労働は、「お客様」の暴走が原因だ』、『日本の過剰なおもてなしが、クレーマーを生んでることに気づいてますか』など、日本のサービスについての記事は鬼のように読まれているので、興味がある方はそちらもぜひ。

 

あと、現在ライター生活の2年半をまとめた記事をnoteで公開するために製作中です。連休中、『27歳の呪い』という記事もnoteにアップ予定。週明けは現代ビジネスでも記事が公開されます。こちらもお楽しみに!

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