明日、いよいよ手術です。バセドウ病の原因である甲状腺を摘出します。最初はビビりまくってましたが、いまはもうちゃちゃっと済ませたい気分です。
さて、病気になった、手術をしなきゃいけないなんてことになると、まずネットでいろいろと調べますよね。わたしもそうでした。
でもネットで医療情報を調べるためには、ある程度のリテラシーが必要だと思うんです。
医療情報ですら「とりあえずネット」
3月某日、引越し前日。いろいろありまして、突然知らない医者から電話がかかってきて、「手術を視野に入れてみては」と言われました。
いますぐってわけじゃなくて、「薬を2年以上飲んでも病状が落ち着かない人には手術を提案するガイドライン」があるのだそうです。
そんな話を突然聞いたわたしはパニックです。ずっとマジメに薬を飲んでたのに、いきなり手術だなんて。
では次にすることはなにか。そう、ネットでググります。
誤情報が飛び交う医療メディアという存在
「甲状腺 手術」「バセドウ病 手術」「甲状腺摘出 後遺症」「ドイツ 手術」。こんな感じで、ひととおり調べました。
以前「ド素人が低単価で医療情報を書いていた」ことで閉鎖されたウェルクという医療メディア問題、その後芋づる式に問題視された多くの「医療デマサイト」の件も知っていました。
でもさぁ、なんやかんや言って、「たくさんのサイトを見比べれば比較的正しい情報を手に入れられるんじゃないか?」と思っちゃうわけですよ。
それでいろんなサイトを見比べるんだけど、「このサイト、あっちのサイトのパクリじゃない?」「この文章、さっき見た文章に手を加えただけだな」とかがわかっちゃうんです。曲がりなりにも文章を書いている人間なので。
でもウェブで文章を書かない人からすれば、「いろんなサイトで同じようなことが書いてあるから信頼できるだろう」と思ってしまうかもしれません。
そうじゃないよ、もともとはひとつの記事で、それから派生しているだけかもしれないよ!
医療情報は都合のいいものだけを信じたくなる
もちろんそのなかでも、病院が運営しているサイトや学会?発表の文章など、比較的信頼できそうなものはありました。
でもね、そういうのを読むと、逆に怖くなってくるんです。客観的にリスクが書いてあるから。
そうすると、無責任に「食事で治る」とか「これを飲めば治る」と謳うサイトの方が、読んでて楽になるんです。いわゆる代替医療ってやつですね。
わたしは自分を、割と現実的な考えをしている人間だと思っています。だからスティーブ・ジョブズが手術を拒否したことを知ったときは、「いやいや手術なんて受けときゃいいのに」って思ってました。
でも実際それが自分となると、全然笑えません。
「治らないかもしれないけど、もしかしたら」
そういう希望にすがりたくなるんですね。
ちゃんとした医療だと、リスクや後遺症もちゃんと書かれてるから、怖いんです。「治ります」って書かないし。
でも代替医療は、「つらいことをせず」「治る」と言う。
ふつうに考えれば前者のほうが説得力があるけど、ほしい言葉をくれるのは後者なんです。だから化学治療や手術を否定し、代替医療に走る人がいるのかもしれません。
でもね、都合のいい言葉だけを信じちゃダメです。医療関係において、「根拠」はなによりも大切です。
余計な情報が勝手に入ってくるのがインターネット
で、一番「はぁ?」って思ったのが、これです。
サジェストワードに、「太る」って出てくるんですよ。
いやいや、太っても甲状腺摘出しなきゃいけないならすべきでしょうよ。……って思うじゃないですか。わたしも思います。
でもいざそういうのを見ちゃうと、「太るんだ、イヤだな」ってなるんですよね。
もしかしたら、この二文字を見ただけで「太るなら手術をやめよう」と思う人がいるかもしれません。
「バセドウ病になると体重が落ちやすくなるから、ダイエットのために薬を飲まない人もいる」ってお医者さん言ってましたし。
ネットで医療情報を調べると、知りたくないようなことも目に入ってしまいます。「バセドウ病 しぬ」とかね。
そういうのに振り回されちゃいけません。あなたの身体はあなたのものですから。。
わたし? ああ、バセドウ病になって10キロ落ちたけど、ばりばり食べて療養してちゃんと10キロ戻したよ? 体重キープしろって言われたからな! 医者の言うとおりにするいい患者だぜ!!
医療情報をネットで調べる人たちへ
身体になにか不調があったら、ネットで調べる人も多いでしょう。それ自体は、悪いことではありません。
でもネットというのは、だれが書いた情報かもわからないし、それが正しいかもわかりません。そして、無責任なデマが飛び交っているのが現実です。
気になるから調べる。わかります、当然の心境です。
でもネットに書いてあることを鵜呑みにしたり、100%受け止めてしまったりすると、目指している「健康」から離れていってしまうかもしれません。
信じられるのはやっぱり、医者です。いろんなサイトを見比べるくらいなら、信頼できる医者をさがすことに労力を割くべきです。
わたしは最初の専門医と合わず、次の専門医には放置され、正しい薬の処方を教えてもらっていなかったという経緯がありました。
手軽に情報を集められるインターネット。でも健康に関わる情報は、「手軽」がアダになることもあります。
より不安になったり、怖くなったり、まちがった治療法を知ってしまったりもするのです。
医療情報をネットで調べるなら、ネットの特性やリスクを知ったうえで調べるようにしてください。
正しい医療情報を通して多くの人が健康になりますように。
(手術前日の人間が言うんだからまちがいない)