「ドイツってみんな1ヵ月夏休み取るのに経済回っててすごいよねー」と言われると、「ダヨネー」と引きつった笑顔しかできない雨宮です。
やってまいりました、バカンスに最適な季節、夏! ええ、1ヵ月休暇を取れるドイツでは、みんなバカンスです! おかげで担当者がだれもいません!!
労働者の権利を大切にする素晴らしい国・ドイツ

突然ですが悲しいニュースをお伝えします。
本日税務所へ行ったところ、「租税条約の担当者が休暇中で手続きに時間がかかる」と言われました。「じゃあ売上税の確認をしたい」と言ったところ、その担当者も不在でした。
理由? バカンスだよこのやろー。
しかたない。しかたないよね。ドイツだからね。
気持ちを切り替えよう。とりあえず、右上の親知らずが痛すぎる。予約はないけど歯医者に行くか。
→休暇で閉まってました。
さすがに歯の痛みは「しょうがない」では流せないので、その場でぐぐってちがう歯医者に電話。
「ハロー」
「ハロー。わたしの名前は「ハロー、ハロー?」
「もしもし、聞こえますか」
「うっそぴょーん!いま休暇中なので電話に出られません」
という音声が流れてきて、控えめに言って一生この歯医者には行かないと決めました。わざわざ挑発する必要あります?
ちなみに、事情説明したらほかの歯医者さんが時間外に診てくれることになったので、今日行ってきます。
この時点でなんかもうすべてがイヤになってきましたが、このまま帰るのもアレじゃないですか。だってぶっちゃけなにも進んでないんだもの。
「せっかく時間をもてあましてるんだ。気になってたカフェで本でも読んでいくか!」なんてオシャレフリーランサーを気取り、オシャレなカフェまで歩くこと15分。
はい、休業中〜〜〜!!
ぐぬぬもう疲れた。昼食を作る気も起きない。安いアジアンビストロで済ませて帰るか……。
はい、休業中~~~!!
もういいよ、みんなわたしのこと嫌いなんだろ!わたしもお前らのことが大嫌いだよ!帰るわ!!
帰りがけ、下顎のしびれの件でホームドクターのところへ寄るも、ドクターも休暇中。ほかのドクターに紹介状を書いてもらいました。
帰宅して、さっそくその紹介状の整形外科医に電話をかけてみます。しかし、「ドクターが休暇中だから予約は1ヵ月後になる」とのこと。
あばばばば。
(結果、ちょっと遠い整形外科で再来週の予約が取れました)
みんな休める労働者天国の真実
いやまぁ、考えてみれば当然だよね。『休暇を取れる国』ってことは、『休暇を取ってる人がいる国』ですから。それが夏になるのもまぁ理解できるわけで。
わたしの友達なんて、大学通うために学生ローン組んだのに、大学の担当者が休暇中で承認されなくて保留→友だちに金を借りるってかわいそうなことやってたからね。
場合によっては担当者以外の人が対応してくれることもあるけど、ちょっと突っ込んだ話になったらもうダメですね、相手してくれません。
税務署「担当者がバカンスでいない」
— 雨宮@フリーライター🇩🇪 (@amamiya9901) July 26, 2018
歯医者「バカンスだから閉めてます」
ホームドクター「バカンス中」
税理士「来週からバカンスで手続きが遅くなる」
銀行「担当者のバカンス後に来てくれ」
これが!1ヶ月バカンスが取れると噂の!!ドイツの!!!ほほえましい姿である!!!!
なんかさぁ、日本で「ドイツは休めていいなぁ」ってよく言われてたんですよ。
居酒屋で深夜まで飲んで、コンビニで軽食買ってカラオケでオールするような人が「ドイツはうらやましい」って言ってると、「いやいや」ってなるんですね。
なぜ自分だけが休んでほかの人は休んでいない前提で話してるんだ?と。
あなたが休めるのと同じように、まわりの人も休めるんだよ。そしたら担当者いないし、医者はいないし、カフェや歯医者は閉まってるんだよ。
夏は労働に向いていないという結論
で、この話をパートナーにしたんです。「さすがに困ったよー。ドイツ人みんな休みすぎだよー。どうすりゃいいんだよー」って。
そしたら彼は、「俺も夏に休暇取ればよかった〜。後悔だよ~。来年からは俺も夏に休むわ~」って笑ってました。
理由は、「暑くて仕事にならないから」と。
ドイツの多くの建物には基本、クーラーがありません。去年や一昨年はあんまり暑くなくて、「あれ、夏ってどっか行っちゃった?」みたいな感じだったんですけど、今年はクソ暑いです。室温が30℃を超えることもあります。
基本冷房がないドイツのオフィス。室温が35℃を超える&企業側が対策を打たない→労働者は仕事を拒否する権利がある。
— 雨宮@フリーライター🇩🇪 (@amamiya9901) July 26, 2018
彼は昨日汗ダラダラになりながら「あと1℃あれば帰れた」と残念がってた。暑けりゃ仕事にならん。当然の話。
Ab 35 Grad ist das Büro tabu https://t.co/THgrzU239E
いままで、「バカンスに向いてるからみんな夏に休むんだろうなぁ」と思ってたけど、この連日の猛暑のなかで生活してると、「こりゃ仕事にならん。休まねば」となるのもわかるなぁ~と思いました。
夏は一番仕事したくないタイミングだから休んでるんだろうな、みんな。
一方で暖房はしっかりしてるから、冬は普通に仕事します。でも夏はクーラーないからつらいよね。
休めるけどだれもいないドイツの夏
単純な話で、みんな夏休み取れるなら、オフィスにゃだれもいません。当然だよな。
そしてこれは、ゴネてもどうしようもありません。休暇中の連絡を禁止、メールが自動消去される『つながらない権利』を保証してるところもありますからね。いないならしょうがないんです。
たしかにドイツでは、日本よりもずっと簡単に長期休暇が取れます。でもそれなら当然、バカンスの季節は休暇中な人が多いわけで、客は困ります。でもお互い様、そういう国なのでしょうがないのです。
「みんな1ヵ月休むのに仕事が回ってるドイツ!すばらしい!」的なのを言うのは、ガラガラのオフィスを見てからにしましょう。
以上、休めるけどだれもオフィスにいない国、ドイツからの報告でした。